野党、特に最大野党の民主党が国民の信頼を得られない最大の要因は、元自民党から元社会党まで集まった「寄り合い所帯」で、政策志向がバラバラだからだ。民主党は、政権を担当した約3年間、憲法、安全保障、財政・税制など基本政策を巡って、党内が分裂して足を引っ張り合うような醜態を晒し続けたことで、国民から徹底的に不信感を持たれてしまったのだ。

 従って、衆参両院で圧倒的多数を誇る巨大与党に対峙するためという理由で、再び基本政策が一致しない「寄り合い所帯」を作る野党再編をしても、国民の悪いイメージを払拭できず、支持を得られない。次の野党再編は、無理に野党を1つにまとめようとすべきではない。むしろ、大まかな政策別に「リベラル系」と「保守系」の2つの政党に再編したほうがいいのではないだろうか(第65回)。

 江田氏はこれまで、基本的に政策の不一致による党内の「亀裂」を狙って政党を壊すことで、再編を進めてきた。江田氏の行動は、一見単なる破壊行為に見えるが、実は政策の違うグループと分かれ、政策の近い者同士を集めることを繰り返している。今回の「民主党解党」の動きには、維新・民主の党内から厳しい批判があるが、お行儀よく、誠実に振る舞うだけでは、政策別野党再編は成し遂げられない。民主党を壊すためには、これくらいの荒業が必要なのではないだろうか。

野党にとって常に深刻な問題は、
安全保障政策の不一致

 政策別に分かれた野党は、それぞれ「リベラル系野党」が改憲反対、反原発、格差批判を、「保守系野党」が行革、財政改革、税と社会保障の一体改革の実現を基本政策とすることになるだろう。だが、これらの政策の違いは、本質的には問題ではない。野党にとって常に深刻な問題となってきたのは、安全保障政策を巡る政策の不一致だった。

 それは、民主党政権時だけではない。野党に転落した後でさえ、集団的自衛権行使容認問題で、海江田万里代表(当時)が、「行使容認には憲法解釈の変更ではなく、あくまでも憲法改正を通じて行使すべきだ」との筋論を通しているのに対し、保守派の前原誠司、玄葉光一郎両元外相、長島昭久元防衛副大臣らは行使容認を主張していたのだ(第92回・6p)。

 その意味では、安保法制を巡る国会論戦は、野党側にとってある意味「幸運」だったといえる。安保法制は本来、安倍晋三政権にとって民主党分裂を狙う絶好機となり得たはずだからだ。安倍首相は、野党の保守系の議員と協議の場を設けて、彼らの考えを取り入れて妥協しながら進めていけば、国会でそれほど揉める必要はなかった。社民党・共産党が反対し、憲法学者が「違憲」と主張しても、国民的反対運動が盛り上がる余地は少なかっただろう。その過程で、党内に多様な考えが存在する民主党の内紛・分裂を画策することができたはずだ。