20年後も
世界は「国家」単位で動く

アジア以外の場所でも地域統合は進むだろう。しかしそのスピードはまちまちで、目的を明確にしたものになるだろう。

南アジア、中央アジア、そして中東では、今後10〜20年以内に地域和平や安全保障で協力関係を築くのは難しいのではないかと、私自身は思っている(貿易や、水などの資源共有では進展があるかもしれないが)。これらの地域では地政学的な対立や不信感が非常に大きく、それを乗り越えるのは次の世代まで難しいだろう。ヨーロッパのように主権の一部を共同管理するほどの地域統合は、今後もなさそうだ。

都市や地域といった中間的な統治機構が拡大しても、国家に代わる存在にはなっていない。むしろ増え続けるグローバルな課題を解決するうえでは、国際機構が不可欠の役割を果たしている。そして国連、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、G20といったグローバルな機構は、いまも国家を礎としている。諸々の活動にNGOや都市、企業など非国家アクターを取り込む方法が検討されているが、その中核的な構成要素は依然として国家だ。