覚えても忘れてしまっては意味がない。さらに、知識として使えないのであれば、ただの徒労である。15万部を突破した『読んだら忘れない読書術』著者の樺沢紫苑さんを迎え、最強の勉強方法について語ります。(取材・文/狩野南 撮影/安達尊)
習慣化できる人とできない人の差
佐藤 「やらされ感」をなくすためには、私は「習慣化」するのがいいと思っています。勉強も読書も、一度習慣になってしまえば、苦にならずに続けられますから。
樺沢 逆に、楽しくないと習慣化できないですよね。
佐藤 でも、勉強を楽しく思うのってなかなか難しい。私の場合は、「感情を原動力にする」ことを大切にしているんです。試験や勉強の先にある、本当に自分がやりたいものが何なのか、その欲求に忠実になって感情を揺さぶることによって、ハードルを越えられるし、楽しさも見えてくると思うんですよ。
樺沢 そのためにも、日頃から「楽しいアンテナ」を立てるってことが大事ですよね。「毎日つまらなくて、楽しいことなんか何もない」と思い込んでいる人もいるけれど、絶対にそんなことはない。気づいていないだけで、「これをやってると楽しい!」と思うことは、誰にでもあるはずなんです。その楽しいことに気づけたら、あとは拡大再生産していけばいい。
佐藤 そうやってアンテナを張っていれば、本屋さんに行っても「これ楽しそう、面白そう!」ってどんどん読みたい本が出てきて、いろいろな知識を得ることができるわけですよね。
樺沢 まさに、そうなんです。精神科に来る患者さんって、自分の病気についていろいろ質問してくる人が多いんですが、ひと通り説明したあとに病気について書かれた小冊子を渡して「読んでおいてくださいね」と言っても、誰も読んでこない。どうしてだと思います?
佐藤 読まなければいけないと思ってしまうからですか?
樺沢 読書の習慣がないからなんです。普段ですら本を読まないのに、具合が悪いときになんか読めない、ってことなんですよね。でも、日常的に読書の習慣があれば、実は本のなかには様々な問題や悩みの解決法が書いてあることがわかる。病気についての疑問だって、本を読めばたいていのことは解決できるんです。
『読んだら忘れない読書術』は、そういう普段本を読まない人たちにも読んでもらえるよう、読書の面白さをわかりやすく書いたつもりなんですよ。