かゆみから不眠症になってしまった
老舗メーカー社長Tさん(45歳)

徹夜で仕事をする日々から不眠症へ

 都内の老舗機械メーカー2代目社長のTさんは、家業を継いで20年。社長就任から10年目を迎えていた。景気の波はあったが長年支えてくれた代理店のお陰で、なんとか安定した業績を維持している。

 社長になりたての10年前は、「あれもできていない」「これもやらなければ」と父を越えようと焦ってばかりいて、そのまま朝まで仕事をしてしまうことがあった。

 そんな生活を続けていたある徹夜明けの日の夜、Tさんは一睡もしていないにも関わらず、眠気がこないことに気がついた。最初は、「疲れやストレスからだろう」と軽く考えていたが、なかなか改善しない。症状があらわれて1ヵ月を過ぎたあたりから、疲れているのに何時間も眠気がこないことに焦りを感じはじめた。お酒を飲んでも、早く床についても眠れない。その頃は毎日、睡眠不足でフラフラだった。

 不眠がはじまって2ヵ月を過ぎた頃、睡眠不足がたたり、スピーチをする予定だった大切な得意先のパーティをすっぽかすという失態をおかしてしまった。手帳にパーティがあることを記入していたにも関わらず、予定を入れた記憶が全くなかった。Tさんはこの出来事をきっかけに、「自分の不眠を何とかしなければ」と思った。

睡眠導入剤を処方され、
不眠症は改善に向かう

 幸いなことに、学生時代の仲間の1人が医師になっていた。電話をすると友人から「決まった時間に寝ていないと、自律神経が狂って睡眠を誘発するホルモンが出なくなってしまうこともある。そんな時は軽い睡眠導入剤を使うといい。今度クリニックに来てよ」と言われた。友人は若い時に「これからはメンタルケアの時代だ」とアメリカにわたり、本格的に神経内科を学んできた専門家だった。

 友人のクリニックに行くと、Tさんは自律神経が乱れたことによる軽い不眠症と診断された。処方された薬の効果は抜群だった。眠れるようになると仕事の効率も上がり、前向きになれる自分を実感できた。Tさんは睡眠薬を飲むとポーとしてしまい、朝起きられなくなるかもしれないと懸念していたが、薬が残るということは全くなかった。友人と薬に心から感謝した。