習近平国家主席は、2015年9月3日の軍事パレードの際、現行230万人の軍人を200万人に減らす方針を発表した。30万人とは、日本の現役自衛隊員の数よりも多く、世界的に見ても大きな出来事ではあるが、日本のメディアは、中国が兵力削減したことについてはあまり関心を払わず、ほとんど評価しなかったと筆者は中国で感じていた。

 筆者は、11月26日に新華社通信が中国軍改革のトップダウン設計案の概要を正式に公表したことに注目している。これまで注目を集めてきた中国の国防・軍の改革深化が、小さなクライマックスを迎えたと思う。

 また同日、中国外務省の洪磊(こう・らい)副報道局長は定例会見で、海賊対策などを行う中国海軍のためにアフリカ東部ジブチと「食料・燃料の補給施設を建設するため協議を進めている」と述べ、軍事拠点建設計画があることを認めた。これは、中国軍の海外における初の軍事基地であり、米国に警戒心を抱かせるものであった。

 二つの事が同じく11月26日に公表されたことが、目下中国にとって、要となる歴史的な節目であることを物語っている。現在、中国は世界で台頭し、海外における利益も拡大している。どのように国内外の厳しい試練に対応し、国家の利益を守りつつ拡大させ、国内の安定を維持するのか。これらのことが、今回中国の最高指導部が正式に軍の改革に着手したことの原点だと思われる。

中国軍改革の二大焦点は
党による権力掌握と軍体制の近代化

 中央軍事委員会改革活動会議が11月24~26日に北京で開かれ、その後、新華社通信の報道は4200字にわたって習近平の「改革強軍(改革を通じて軍隊を強化する)戦略」を全面的に論じた。

「2020年までに指導管理体制、統合作戦指揮体制改革において飛躍的な進展を遂げる」というのが全文の主旨である。「指導管理体制」と「統合作戦指揮体制」は今回の中国軍改革の二大核心的目標である。その他の面での改革目標は、基本的にこの二大目標に従っている。