ワタミは外食以外にも、宅食(高齢者向けの食事の宅配)と介護などの事業を営んでいましたが、2014年度における、これらの事業別の損益は以下のとおりでした。

ワタミが過労死訴訟で和解した理由は、決算書で読み解ける

 このデータによると、各事業の利益は、国内外食が36億円の赤字、宅食が19億円の黒字、介護が23億円の黒字、海外外食が2億円の赤字、その他の事業が1億円の赤字となっています。

 この数字を見る限り、ワタミの中では、介護事業が稼ぎ頭であったことがわかります。

 しかし、ここで注目したいのは、上記の表の中で、介護事業における「セグメント資産」と「セグメント負債」の金額が、他の事業よりもはるかに大きいことです(セグメント資産が721億円、セグメント負債が700億円)。

 2004年度の同項目を見てみると、介護事業のセグメント資産はまだ163億円程度でした。ここからは、ワタミがここ10年、有利子負債を大きく増加させたのは、介護事業における資金調達と設備投資のためであった、ということがわかるのです。

 ちなみに筆者は、これを確認すべく、過年度のセグメント情報に基づいて、簡便的に、介護事業においてどのようなキャッシュの動きがあったのかを計算してみました。これをセグメント利益と対比して表示したのが次の表です。

ワタミが過労死訴訟で和解した理由は、決算書で読み解ける(注)営業CF(営業キャッシュ・フロー)については、セグメント利益にセグメント減価償却費を合算して計算した。投資CF(投資キャッシュ・フロー)については、セグメントにおける「資本的支出」もしくは「有形固定資産及び無形固定資産の増加額」を記載した。FCF(フリー・キャッシュ・フロー)については、営業CFと投資CFの合算値を記載した

 これについて、2014年度のデータを例にとって説明しましょう。この年、介護事業の利益は、23億円の黒字でした。しかし、これは単純に「23億円のお金を稼いだ」ということではありません。この利益の中には、お金以外の資産、例えば営業上の債権や建物、土地、また機械装置なども含まれており、それらの金額を全て合わせた正味の利益が、23億円の黒字だった、ということなのです。