強みだったはずの液晶がお荷物に
シャープは生き残れるのか
連日のように経営再建交渉の舞台裏が報道されているシャープ。本体で約7400億円にも上る有利子負債もさることながら、現在もっとも関心を集めているのは、液晶事業の売却先だ。
かつて「液晶王国」の名を轟かせたシャープは、他ならぬ液晶の転落によって、経営危機に追い込まれた。世界的に厳しい価格競争にさらされて舵取りに失敗。2011年度、12年度の2年間で、不良在庫処理などで9000億円を超える赤字を計上した。
液晶事業の失敗はまだ続いている。過去、テレビ向け液晶が供給過剰によって大きく値崩れしてシャープの巨額赤字の原因になったが、現在はスマホ向けなど中小型の液晶で、やはり供給過剰による値崩れが発生。シャープを苦しめているのだ。
14年度決算は最終赤字2223億円だったが、これもやはり液晶パネルの在庫評価減や液晶工場の減損などが原因だった。15年度に入っても中間期(4~9月期)の営業損益はマイナス251億円。「液晶以外の事業では、そこそこ収益を出せている」(あるアナリスト)のだが、液晶が繰り返し発生させる大赤字が、他部門の収益を食いつぶしてしまっている。
遅くとも来年3月末までには、経営再建策をまとめなければ、法的整理も現実味を帯びてくる。かつては液晶を売りたがらなかったシャープだが、もはや経営陣に当事者能力はない。主力取引行である三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行の2行、そして“日の丸液晶”の守り手である産業革新機構、さらには液晶事業の買収や、シャープ本体への出資を申し出ている台湾メーカー・鴻海(ホンハイ)精密工業などのプレイヤーたちが液晶売却に向けて、水面下で交渉をしているのが現状だ。