新興国の回復には多くの時間がかかる
金融市場の波乱要因になる可能性も

 中国経済の減速鮮明化や資源価格の下落などによって、かつて世界経済を席巻したBRICSブームは間違いなく終焉を迎えた。

 インドは多くの人口を抱えていることもあり、堅調な国内消費によって景気は何とかなっているものの、資源輸出依存度の高いロシアやブラジルは、既にかなり厳しい状況に追い込まれている。

 それに伴い、多額の投資資金が主要新興国から流出し、当該国の経済に痛手になっている。今後、ドル金利の上昇が続くと、ドルベースの債務残高の対GDP比で高い中国、タイ、トルコ、ブラジルなどの諸国は利払い負担が増加することになる。

 当面、これらの国に関しては外貨準備高が厚いこともあり、すぐに大規模な信用不安が持ち上がることはないだろうが、経済状態の回復には多くの時間を要すると見るべきだ。

 12月のFRBの利上げに呼応して、メキシコやなど一部の国が利上げに動いている。利上げによって自国通貨が下落すると、深刻な輸入インフレが進行するため、やむなく金利の引き上げに踏み切らざるを得ないのである。

 景気を冷やしてしまうリスクを冒してでも、インフレが進むことを抑えようとする当該国中央銀行の苦肉の策と言える。

 サウジアラビアなど中東の主要産油国は、原油価格の下落で手取りの輸出代金が大きく減っている。それに加えて、これらの諸国は、自国通貨とドルが連動するドルペッグ制を取っており、FRBの利上げに連動して自国の金利引き上げを行なっている。

 中東産油国の経済状況はかなり悪化していると見られ、今後の原油価格の動向次第では、欧米諸国へ投資した資金の回収を行う可能性も指摘されている。それが本格化すると、世界の金融市場にとって波乱要因になることも考えられる。