内部昇格にこだわる風土が
ダメ上司の温床に

 例えばグーグル会長のエリック・シュミットは、経営者としての自分と、プログラマとしての自分を分けているという。彼自身は経営の才能もプログラマの才能も併せ持った「天才」だが、本人としては経営の適任者がいればそちらにまかせて、1プログラマとして働きたいと、少なくとも10年くらい前までは本気でそう思っていたそうだ。

 彼が経営者としても一流なのは、経営者に必要なものはなにか、経営者としての仕事は何かを把握し、その才能もあるからである。したがって、通常の組織では、管理職、上司がすべき仕事は何かを明確にし、その才能のあるものを配置するべき、という論理になる。

 だが、当然のことながら現実は、そううまくは運ばない。たとえ仕事内容が明確になっても、組織内で適任者を見つけることが困難な場合は多々ある。欧米の会社では、そういうとき、外部から適任者を募ることが多いが、日本の組織では、特に中小企業ではそういったことは少ない。したがって、適任とはいえない人物が管理職となってしまうことが多い。その人物が、上記のような研修を受ける機会を得たり、個人的に学習できる人ならば問題ないが、そうではない人々もたくさんいるのが日本の現状だ。

 その結果、極端に言えば、経験や研修などから学び上司力を上げた「良い上司」と、地位に甘んじ組織に貢献しない「ダメ上司」の二極化が起こっているというのが、筆者らの分析である。

 あなたの上司がもし「よい上司」ならば、あなたは非常に幸運だ。上司は、あなたのモチベーションを上げ、困ったことがあったら相談に乗ってくれ、目指す方向を一緒になって考えてくれる。すべての部下に公平に接し、えこひいきや陰口はしない。つまりは、部下の能力とやる気を最大限に引き出すために、様々なサポートをしている。

 だが、あなたの上司が「ダメ上司」だった場合、それはかなり不幸なことになる。そして、残念ながらダメ上司の割合は日本では結構高いようだ。筆者がこれまで聞いた例を紹介したい。