あなたはいくつ当てはまりますか?
①下からのどんな新しいアイデアも疑ってかかる。
②承認を得ようとする部下に対しては、まず自分の部下などの承認を先に取るように指示する。
③部下や同僚には、他人のアイデアには批判的に挑むように仕向ける。
④批判は力いっぱいに、極力、褒めない。
⑤問題があるのは失敗の兆候。徹底的に叩き、担当者がもう報告したくなくなるようにする。
これを読んで、あなたはどう思うだろうか。決していい上司の行動パターンではない。これは、ハーバード・ビジネス・スクールのロザベス・モス・カンター教授が著書『ザ・セインジマスターズ』で掲げた「いかにしたら自主的変革を効率的に潰せるか」という趣旨の行動パターンを一部改変して作成したものだ。
①には、続きがある。その理由だ。新しいことそのものが罪だ、そもそも「下からのアイデア」などにロクなものはない、というものだ。②の心は、そうすれば、きっと他の誰かが潰してくれるから、自分は無傷でいられる、というもの。④では、そうすれば、怖い人だと一目置かれる、と説く。
さらに、この行動パターンには後半がある。
⑥「すべてのことに細かく」を徹底。計算できるもの、数値化できるものは頻繁に報告させる。
⑦組織の変更や戦略の変更は秘密裏に行い、抜き打ちで発表する。それで恐怖を与える。
⑧情報を求める人間は要注意。できるだけ情報を与えない。
⑨権限移譲と称して、人員削減や配置転換は部下に行わせる。そうすれば、部下が悪者になるから。
⑩この事業に関するすべてを自分が完全に掌握していると思わせる。もちろん、自分に対しても……。
あなたの周りにこんな上司がいないだろうか。それよりも何よりも、あなた自身がそんな上司でないと言い切れるだろうか。こんな“自己防衛上司”は企業を成長させない。悪質なフリーライダーとさえ言える。