コンビニの隆盛は
誰も予測していなかった

 私の友人に、昔からセブン-イレブン向けにお弁当やおにぎりなどを開発・生産している食品メーカーさんがいます。1978年、創業間もないセブン-イレブンと取引を開始しました。以来、セブン-イレブンが課す高い要求水準に必死で応え、その過程で技術力を養い、いまや一部上場の極めて安定した企業になっています。

 そもそも、セブン-イレブンが日本に上陸した当時、世間一般の人々の中で、コンビニの本当の価値を理解した人がどれほどいたでしょうか。コンビニは単に日用品を24時間売る店であって、1店舗当たりの売り上げ規模も小さい。小売業界ではほぼ相手にされず、「個人商店がやるようなことを、なぜわざわざやるのか」と言われていました。

 しかし、当時からセブン-イレブンは「便利さを売る」という卓越したコンセプトを掲げていました。そしてその言葉通り、宅配便受け取りのサービスから始まり、銀行のATMを置き、アツアツのおでんやコーヒーを売り、あらゆる面で日本人の生活に便利さをもたらしていったのです。

 モノでなく「便利さを売る」という発想も素晴らしいですが、それを限られたスペースの中でやりきるという努力が尋常ではない。これはセブン-イレブンの経営陣による、「商品の質とコストにおけるバリューを最大化したい」という、執念ともいうべき挑戦に、周辺の取引先企業群が努力に努力を重ね、ついていった結果といえるでしょう。いまや、リーディングカンパニーとしてのセブン-イレブンの地位は盤石です。

 海外を旅行すると、あらためて日本の生活の便利さに気づきます。必要なものがいつでも近所で手に入るというのは、当たり前過ぎて気づきませんが、日本だけの特殊な事情です。コンビニは米国とは違う独自の進化を遂げ、日本人の生活を大きく変えました。それを実現したのは、まさにセブン-イレブンをはじめとするコンビニ各社の“経営の力”なのです。

 ですから外食チェーンはコンビニの発展過程から経営の要諦を学びつつ、自分たちの店舗オペレーションや接客サービスの質、ブランド固有の企業文化を生かす方向を目指すべきです。同質競争ではなく、フードサービス業としての特徴や強みを生かし、コンビニと外食チェーンの両方がお客様の満足を獲得しながら、それぞれに進化していくことが、マーケットと消費者にとっての恵みであろうと考えます。