「悪条件でもまだ人が集められる」
西成に流れる全国の手配師と労働者

日雇い労働者が集まる西成の某公園。労働者同士の喧嘩で警官が出動。同地では日常茶飯事 Photo by Kenichiro Akiyama

 実際に、山谷の労働者が西成に流れる動きがあるようだ。

「東京・山谷には、もう日雇い労働者そのものが少なくなっている。日雇い労働者の高齢化、労働需要の減少も相まって生活保護を受ける人が増えたためだ。そのため生活保護受給を潔しとしない人たちは大阪・西成に流れてきている。雇用があると言われているためだ」(前出の大阪市課長代理)

 山谷に限らず、全国の日雇い労働者たちが、職にありつこうと大阪・西成にやって来ていることは手配師たちも承知している。だが、その雇用条件ははっきり言って悪い。

 早朝4時頃、西成・あいりん地区の労働福祉センター近辺を歩いていると、「行かんか、行かんか。ちょっと遠いけど行かんか」と威勢よく労働者たちに声かけしている手配師の姿が目についた。どこの現場かと尋ねてみると「北海道」だった。

 今、大阪市内では、「北海道で長期間働きませんか」「地方で仕事をしませんか」といった人材派遣業者の手による看板やビラを目にする。

 早速、大阪市内でこれら看板やビラを掲げている企業いくつかに、雇用条件について問い合わせてみた。すると、その回答はおおむね次の内容に集約された。「勤務地は牧場やスキー場。作業内容は建設関連。賃金などの待遇については面談の上、詳しく説明したい」。

 うち1社に面談に訪れると、「北海道開発の建設作業員。日給1万3000円。衣食住など完備」という条件だった。それ以上の詳細は応募しなければ話せないという。この条件が必ずしも信用できないのは、先の話の通りである。

 前出の大阪市課長代理は言う。「公共事業に限らず、地方、それも僻地の建設現場では雇用条件の悪さから労働者の供給が追いついていない。そんな悪条件でも働きたい人がいる西成・あいりん地区を擁する大阪なら応募があると見越してのことではないか」。