『0歳からみるみる賢くなる55の心得』から、脳科学の権威・久保田競先生と、「脳科学おばあちゃん」久保田カヨ子先生のメッセージをお届けする。
犬の脳内にある「生物時計」とは?
(Kayoko Kubota)
1932年、大阪生まれ。
脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた、“0歳から働きかける“久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。著書に、累計34万部突破のシリーズ『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』(以上、ダイヤモンド社)などベストセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【株式会社脳研工房HP】 http://www.umanma.
co.jp/
わが家ではオスの大人のビーグル犬を、生まれた直後から飼っていました。
食餌(しょくじ)は1日1回、午後7時と決めており、毎日午後7時直前になると、催促の鳴き声をあげます。
この時間をすぎても与えられないと、大声で吠えます。この声は5分と狂うことがありません。
どうしてそんなに正確に午後7時という時間がわかるのか、不思議に思われるくらいです。
それまでに散歩が多すぎたり、間食したりすると、この時間が少し狂いますが、ほぼ正確に午後7時がわかります。
これは時計を見て時間がわかるのではなく、犬の脳内にある生物時計でわかるのです。
わが家の犬に時間予知能力があるのも、生まれた直後から午後7時に食餌を与え、この時間を守り続けてきたからです。
犬は自分の脳内の生物時計と、外からの手がかりとなる刺激などから、自分の持てる能力を使って総合的に判断し、声を出しているのです。
声を出して吠えたら食餌をもらえるからではなく、空腹になってきたことから、食餌時間を察知して声をあげているのです。
規則正しい生活習慣が、
幼児の脳をはぐくむ前提条件
犬に限らず、人間も規則正しい生活をすることで、脳や体の働きを健全な状態に保っていけます。
地球上の動物はすべて、地球の自転に合わせて生活していますが、人間を含めた哺乳類はそれにうまく適合し、「夜寝て、昼間活動する」生活をするようになったのです。
この昼夜のリズムを決めているのは、脳の視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経細胞の集団で、目に光が入ってくると活動が高まり、夜になると活動が低下します。
この活動の周期に合わせて、脳やホルモンの働きが変わるのです。光の入力に応じて働く視交叉上核は、“生物時計”と呼ばれています。
この生物時計の中に分子時計があって、いくつかの時計遺伝子が働き、リズムを調節します。
図のように、脳と身体はたくさんの部位の分子時計とつながっており、他の細胞やホルモン分泌腺に働いて、眠りと目覚め、行動、心臓、消化腺などがリズムを取ってバランスよく働くようにできているのです。
昼夜のリズムや生活の基本リズムを考えて生活することは、脳と体の健全な発達に欠かせません。
規則正しい生活習慣をつけることが、幼児の脳をはぐくむ前提条件となるのです。