門司総一郎・大和住銀投信投資顧問経済調査部部長は、「インパクトは全くない」と断じる。

「これで株高・円安・デフレ脱却、となるかと言えば、ならない。昨年ECBが行った追加緩和では、資産買い入れ増額がなかったことで“失望売り”という結果になったが、それと同じようなものだ。タイミングとしては良く、株価上昇のトリガーにはなった。だが既に株価水準が低く、原油価格も下げ止まり、中国も悪材料出尽くしで投資家も押し目買いに動き始めているところだったため、実際には株価が上昇しても“日銀のおかげ”ではない。

 むしろ“やってもこの程度か”ということで、今後“黒田プレミアム”が剥げ落ちる可能性もある。日銀頼みの株式市場は決して健全ではなく、いずれ剥落は避けられないので、かえってそのほうが望ましい」(門司経済調査部部長)

日銀が撃ち出した弾は
金融機関・企業・市場に届くのか

 黒田総裁は、金融決定会合後の会見で、「日銀が物価上昇率2%という目標に強くコミットし、そのためには何でもやる、と示すことが重要」とし、「量的拡大が限界に達したということでは全くない」「今後は、経済・市場の状況に応じ、必要ならば“量、質、金利”という三つの次元でさらなる緩和を行う」と強調した。

 実際、これで日銀の緩和手段が尽きたわけではない。状況次第で次の手を打ってくるだろう。今回、資産買い入れ拡大などの量的緩和は今後のオプションとしてあえて残した、との見方もできる。

 だが、“サプライズ”は、重ねるごとにそのインパクトが薄れるという面は否定できない。日銀はあくまで従来の金融政策方針を貫くのか、あるいはどこかで根本的な転換を迫られるのか。金融機関、企業、そして市場が、今回日銀が撃ち出した弾をどう受け止め、今後どう動くのかによって、答が見えてくることになるだろう。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 河野拓郎)