萩原氏は、著書の中で「夫の死後、パソコンの中から不倫女性と夫の旅行写真が出てきた」というエピソードを紹介している。もちろん、不倫自体がやってはいけない行為なのは大前提であるし、さらにそれを死後の遺品から家族が発見したら、途方もない虚しさと苦しみが訪れるだろう。妻は夫の隠された一面にショックを受け、彼のことを語らなくなる。それにより、子どもが抱く父親像が変わってしまうことも想像に難くない。

 なお、先ほどあえて「多くの男性なら」と注釈した。このようなケースは女性にも考えられるが、萩原氏によれば「これらの遺品トラブルは、基本的に男性が亡くなった場合が多い」という。そのことから、先の注釈をつけた次第だ。筆者も、心当たりのある男性の1人である。

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遺族が「知っておくべき情報」とは

 先に挙げた異性トラブルのパターンを見て、「自分のパソコンにはログインパスワードがあるので、遺族が見ることはできないから大丈夫」と考えた人もいるだろう。もちろんそれは間違っていないが、しかしそうした方法でパソコン全体を秘密化してしまうのは賢明ではない。それが、萩原氏の指摘した「遺族に知ってもらいたくない情報と、遺族の知るべき情報が混在している」という点につながる。つまり、「遺族が見なければならないものを見られない」という事態になるのだ。

 こちらも先ほどのAさんを例として、トラブルパターンを想定してみよう。Aさんが亡くなった後、遺族は遺産相続を行わなければならない。そこで妻は、Aさんの預金通帳を端から引っ張り出すのだが、実はAさんはそのほかに、通帳のないインターネット専業銀行にお金を預けていた。

 しかし、妻は夫のAさんが資産の一部をインターネット専業銀行に預けていたと知らない。そのため、見つかった預金通帳のみで遺産相続の申告をしたところ、後の調べによってインターネット専業銀行の遺産が判明してしまった……。萩原氏によれば、こうしたケースは「そのまま放置すると、遺産隠しと思われて脱税容疑に発展する可能性もある」という。

 あるいは、インターネット専業銀行にお金を預けていたことは知っていても、どの金融機関と取引していたかを妻が把握していなかったこともあるという。パソコンを開けば判明するかもしれないが、ログインパスワードがわからなければ、その情報も知りようがなくなってしまう。

 さらに怖いのは、AさんがFXや株などの資産運用をパソコンで行っていた場合。これらの取引は「レバレッジ」というシステムにより、国内のFX業者なら元金の25倍までの金額で取引ができる。海外業者なら500倍以上に上げることも可能だ。