「全国的な知名度を上げたい!」とロングセラー商品「チャンポンめん」を掲げる伊藤さん

「チャンポンめん」という即席袋めんを知っているだろうか。エビとシイタケのかやくが醸し出すあっさりとした塩味が特徴だ。製造元のイトメン(兵庫県たつの市)は、世界で2番目に即席袋めん・即席カップめんを開発した会社なのにもかかわらず、あまり知られていない。当然ながら1963年から販売されているチャンポンめんも、全国的な知名度は低い。そんな残念(?)なエピソードを集めたイトメンの自虐キャンペーンがネット上で話題となっている。

 イトメンは、1945年創業の食品メーカー。もともとは製粉会社で、58年、世界で初めて即席袋めんを開発したという日清食品に2カ月遅れて、即席袋めん「トンボラーメン」を生み出した。

バラエティーに富んだイトメンの商品

 チャンポンめんだけでなく、「播州らーめん」「二八そば」といった50種類以上の袋めんやカップめん、乾めんを製造。86年発売のわらびやぜんまいなどが入ったカップめん「カップ山菜そば」は、マンガ「そばもんニッポン蕎麦行脚」(山本おさむ)でも取り上げられた、知る人ぞ知る名品だ。

 しかしこのイトメン、大手の販売シェアが高い大都市圏では苦戦を強いられるようだ。逆に姫路などの播州地域では、主力商品のチャンポンめんは「播州人のソウルフード」と言われるまでの人気を誇っている。なぜか北陸地方に熱狂的なファンが多く、中国地方や鹿児島県でも販売されているのだが、神戸や大阪にいくとシェアが激減。全国展開にはほど遠いのが現状だ。

左がハエに間違われる「とびっこ」口元のほくろがセクシーだ。右が市のキャラクターと名前がかぶってしまった「アカネちゃん」(イトメン提供)

 さらに、たつの市が童謡「赤とんぼ」を作詞した三木露風のふるさとであることから、トンボのキャラクター「とびっこ」を作ったが、ハエに間違われることがしばしば。2013年誕生の2代目キャラクター「アカネちゃん」は、16年1月に生まれた市のキャラクター「あかねちゃん」と名前がかぶってしまう(1月25日に双方が自由に名称を使用することを確認)など、とにかく残念なエピソードが多いのだ。