地方創生が叫ばれて久しくなりました。しかし、地方にそれを担う人材はそもそもいるのでしょうか。
新幹線などの交通網をはじめとした社会インフラが充実し、都市部との接触機会が増えることで、地方から都会へ出ていく「若手人材の流出」はなかなか止まりません。
では、その状況に歯止めをかけるにはどうしたらいいのか。最近、イマドキの環境を巧みに活用して、人材流出に歯止めをかけることも目的にしたイベントが行われはじめています。その1つが「30歳の大同窓会」です。みなさんはご存じでしょうか。新しいようで、なじみ深い、この取り組み。果たして、地方創生や地方活性化の呼び水になるのでしょうか。
都市部だけじゃない!
地方でも求人難の時代がやってきた
「求人難は都市部の問題。地方では求人数が伸びない二極化状態にある」
企業の求人に関する話になると、これまではよくこのように言われてきました。首都圏など都市部の求人難に関しては、語ることがはばかられるくらい当たり前の課題になりつつあります。業界によっては求人サイトに募集を掲載しても応募が皆無。そこで人材確保のための企業買収を検討したり、外国人採用など新たな手立てを模索する企業も少なくありません。
ところが今、これが都市部だけの問題でなくなりつつあります。地方でも求人難の問題が表面化しはじめているのです。例えば、佐賀県の12月(2015年)の有効求人倍率は、前月を上回る1.02倍にまで上昇。バブル景気終了間際だった1992年7月に1.02倍を記録して以来、23年5ヵ月ぶりに1倍台の高水準とのこと。また沖縄県でも昨年には有効求人倍率が本土復帰後の最高値を記録しました。全国的に“求人倍率の記録”が出る状態になっているのです。
これもアベノミクスが狙うトリクルダウン理論の影響でしょうか。トリクルダウンとは「したたり落ちる」という意味で、象徴的な中心部における成果が徐々に全体へしたたり落ちるように広がること。そうであれば、日本経済にとってすばらしいことです。ただ、この問題に限っては有難いことばかりではありません。地方の求人難は都市部以上に「やっかい」で、対処法もやっかいになるからです。
では一体、どう「やっかい」なのでしょうか?