中国は「走っている」、韓国は「歩いている」、
日本は「止まっている」

「経験則」や「勘」の判断を続ける企業経営は負ける

 私は、30年にわたる会計士・会計コンサルタントとしての経験を踏まえ、経営管理や会計とそれに関連する情報を活用することでマーケットでの競争に勝つ確率を上げることができると考えています。

 欧米やアジアの優良企業で実現している経営管理システムは、トップマネジメントが経営判断の質を上げるために必要な情報を提供するという明確な目的意識のもとに構築されています。

 トップマネジメントは自分が的確な判断をタイムリーに行うために必要な情報を明確にし、それを要求しているのです。

 以前、日本企業向けのプロジェクトを一緒に行ったPwC韓国のメンバーは、韓国企業の経営スピードの“遅さ”に危機感を持っていました。

「中国企業は走るスピードで経営を行っていて、韓国企業は歩くスピードで経営を行っている」

 そして、さらに、彼は言葉を続けました。

「では日本企業はどうか? 止まっているように見える」

 それくらい、日本の経営スピードは遅いという認識を持たれているのです。

 グローバル競争で求められるスピードは今までの日本企業の常識とは異なるスピードです。この競争に負けないためには、経営層の「会計脳」のレベルアップを行い、自分たち自身で経営判断を素早く行っていくことが不可欠です。