相場変調の分水嶺を超えたと判断した2月早々、ドル円が110円割れに向かう事態を覚悟した。上の図が示すように、ドル円は200日移動平均を割り込み、ヘッド・アンド・ショルダー(三尊天井)を形成し、過去1年強のレンジである115~125円で作られた買い持ちポジションは全て含み損を抱え、ドル円は一気に下落の公算が高まった。

 7月の参議院選挙を前にアベノミクスは正念場である。日本の3月本決算を前に、当局は110円付近を確保すべく為替介入する可能性が高い。日銀も状況次第で、追加利下げや量的緩和拡充などを早める可能性がある。

 さらに悪いことに、金融に絡む問題には事態が悪化するほど増殖する面がある。最大の懸念の一つは米欧の高リスク債市場だ。これが売られて利回りが急騰すると同時に株価が下落する展開は、企業の信用不安を悪循環的に高じさせやすく、リセッション入りの警告シグナルとされる(下図参照)。

 主要国の協調行動が必要ともなる嵐の中で、ドル円は105~110円の攻防があり得るとみる。中長期では年末に112円、来年末に115円と小康を見込むが、あくまで暫定予想とご了解いただきたい。

(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー 田中泰輔)