<クレーム対応>
過ちがあれば素直に謝罪する
迅速で誠意ある行動が基本

人材派遣会社マンパワージャパンで20年、営業部門の責任者などを務めた経験を生かし、現在は多くの会社で人材研修を行っている秋元次郎氏。今回はクレームへの適切な対処法について基本的な考え方や行動パターンを聞いた。

秋元次郎(あきもと・じろう)
コンサルティング ミッション代表 人材派遣会社マンパワージャパンで、20年間にわたり営業部門の責任者などを務め、 2002年より現職。「わかりやすく、実践しやすい」をモットーに人材研修を多くの企業向けに手がける。
Photo by Masato Kato

 クレーム対応の初動で大事なのは、「人によって不満の感じ方に違いがあること」に気づくことです。「なぜ、これくらいのことで怒るのだろうか」と思って対応すると、最初からお互いの気持ちにミゾが生じます。このミゾが埋まらずにクレーム対応を進めるため、最終的によいゴールを迎えられないケースが多いのです。

 たとえば、接客係の話し方一つでも、親しみがあったと前向きにとらえるお客がいる一方で、ぞんざいに扱われたと感じる人もいます。人によってサービスに対する感じ方は異なり、不満(クレーム)はお客の尺度で決まるのです。

 対応の初期段階では、自分が誠意をもって対応するという姿勢を相手に伝える必要があります。お客の話に耳を傾け、相手の気持ちや状況を理解しようという「共感」の姿勢がポイントになります。

 お客とのやりとりのなかで、「自分の非を認めてはいけない」という考えがありますが、間違っています。クレーマーと呼ばれる例外を除けば、過ちがあれば素直に「謝罪」することが、その後の流れをスムーズなものにします。

 一方、「一刻も早く解決したい」という気持ちが先走って、クレーム相手に対して「こうすれば、よろしいでしょうか」などと、すぐに解決策を提示するのもいただけません。お客に誤解があるかもしれませんし、興奮状態の話は事態をきちんと把握したものとは限りません。それだけを元にして解決策を提示したのでは、大きな間違いにつながります。

 クレーム対応ではまず、「早急かつ正確に事実を確認すること」と肝に銘じておきましょう。それでは、実際の対応を、順を追って説明していきます。