
顧客による理不尽な要求「カスハラ」への対策は、組織としても頭を悩ませる課題だ。しかし、厄介だからと後回しにすると、組織の生産性に大きく影響することになる。人手不足の今こそ意識すべき、カスハラ対策の重要性を専門家が指摘する。※本稿は、安藤俊介『いますぐできる!接客・サービス業のためのアンガーマネジメント』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
「怒らない」ことが
正解だとは限らない
アンガーマネジメントは怒らない方法でもなければ、怒らないことを目指すものでもありません。
アンガーマネジメントは、必要のあることには上手に怒れるようになり、必要のないことには怒らなくて済むようになることを目的としています。
怒りは大切なものを守るためにある感情です。
あなたが大切にしているものが踏みにじられようとする時、あなたは怒ることでそれを守らないといけません。
カスハラによって、あなたの人権が侵害される危険がある場合、闘って守らなければ、あなたの人権は蹂躙されてしまいます。法的、社会的にあなたの尊厳を守るために――正しく対処するために――時に闘う必要があることでもあるのです。
逆にあなたの人生に大して関係のないようなものには怒る必要がありません。あなたの人生に関係のない人の言動なんて放っておいていいのです。
自分にとって闘ってでも守る必要のあることについては怒り、放っておいていいものは怒らないと決めて行動すること。それがアンガーマネジメントです。