野村HDが「100年の野望」で銀行ビジネスに本格参戦!メガバンク幹部の引き抜き攻勢で牙城侵攻へPhoto:EPA=JIJI

証券最大手の野村ホールディングスの起源は、1925年に大阪野村銀行の証券部が野村證券として独立したことにさかのぼる。それから100年後の2025年4月、野村はバンキング部門を新設し、銀行ビジネスへの本格参戦を宣言した。その狙いは何か。特集『銀行・証券・信託 リテール営業の新序列』の#3で、現役幹部らへの取材を基に明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

創業100年の「野望」成就へ
野村が銀行業に本格参戦

「100周年の2025年に、野村グループがバンキング部門を設立したことについて、銀行ビジネスとの浅からぬ縁を感じずにはいられません」

 今年4月、野村ホールディングスが新設したバンキング部門の部門長に就任した岡田伸一氏は、投資家向け説明会の場でそう感慨深げに話した。

 野村の起源は、1925年に大阪野村銀行の証券部が野村證券として独立したことにさかのぼる。それから100年後の今年、野村は銀行ビジネスへの本格的な回帰を宣言したのだ。バンキング部門は、個人や法人の資産管理を担うウェルス・マネジメント、資産運用を行うインベストメント・マネジメント、法人や機関投資家向けの金融サービスを提供するホールセールに次ぐ「第四の柱」として、2030年度に税引き前利益500億円を稼ぎ出す収益エンジンとする構想を描く。

 だが信託銀行業界は、三菱UFJ、三井住友、みずほなどのメガバンク系列がシェアを寡占する。岡田氏自身、全国の支店を渡り歩いた証券営業マンの出自で、銀行ビジネスとは程遠い畑を歩んだ。バンキング部門の中核を成す野村信託銀行は、メガバンクに対抗し得るのか。

 野村は昨年、看板であった営業部門の名称を、ウェルス・マネジメント部門に変更している。そのリテール改革はどこへ向かい、どのようにして「100年の野望」を成就させるのか。次ページで検証する。