この笑いが止まらぬ状況が、「がくぜんとする」(炭素繊維メーカー役員)ほど変わった。「コンスタントに伸びていた需要が、昨年ピタリと止まった」(同)のだ。

 原油価格の下落によって、急増するとみられていたシェールガスの採掘が停滞。天然ガスのコストメリットがなくなり、自動車の燃料を天然ガスに転換する動きも縮小。これによって、圧力容器は需要減少の憂き目に遭っている。

価格もじわり下落

 需要が減れば、価格も下落するのが需給の定め。炭素繊維メーカーはリーマンショック後の需要減で味わった値崩れのつらさを思い起こし、価格維持に励んでいるという。しかし、原油安は炭素繊維の原料であるアクリロニトリルの価格も押し下げており、それによる取引先の値下げ圧力も相まって、じわりと価格は落ちている。

 2月16日、サウジアラビアやロシアなどが原油の増産凍結で合意したものの、原油価格は依然、代表的指標であるWTIで1バレル32ドル前後を推移し、目立った上昇はない(2月24日時点)。「1バレル40ドルを下回るとさすがに想定以上の打撃」と嘆く炭素繊維メーカー関係者。期待の星が本来の輝きを取り戻すには時間がかかりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)