どの建物にも共通する設計ポイントが

 エジンバラ市民から大きな共感を呼んだマギーズ。6年後には同じスコットランドの最大都市、グラスゴーに進出したほかスコットランド内に7ヵ所も開いている。マギーズ・エジンバラの施設長で看護師のアンドリュー・アンダーソンさんは「スコットランドでは、新たにがんと診断された人の5人に1人はマギーズを訪れるようになった」と胸を張る。

 アンダーソンさんは2014年11月に来日し、マギーズ・センターへの熱い思いを語った。その中で「オバマ大統領夫人が訪ねて来て、コミュニティの灯台ですねと」評価してくれたという。

 スコットランドからニューカッスル、ロンドンなど英国全域に広がっており、今では20ヵ所に。2013年には香港にも進出し、スペインのバルセロナでも開設した。年間利用者は10万人近いという。

 いずれも病院内の敷地に構え、第一級の建築家の手になる。建築評論家のチャールズさんのネットワークが生かされ、その名を聞くと驚かされる。

 第一号のエジンバラは、リチャード・マーフィ。フランク・ゲーリー、レム・クールハウス、リチャード・ロジャースなどそうそうたる名が連なる。

 東京の新国立競技場の最初の設計者として話題を集めたザハ・ハディトさんも、2006年に開設されたエジンバラ近くのフィーフ市で図面を描いた。日本からは、7年前に亡くなった黒川紀章氏が英国西部のサウス・ウエスト・ウエールズに「マギーズ・スワンジー」を手掛けている。

 どの建物にも共通する設計ポイントがある。環境が与える癒しの効果を知悉したマギーさんが記したものだという。

 自然光がたっぷり差し込む大きな窓、植物の緑あふれる中庭、リビング内で飲食がすぐできる機能的なオープンキッチン、事務室から全体が見通すことのできる吹き抜け構造、セラピーのための個室。面積が280平方メートル前後、それに暖炉と水槽。いずれも、がん患者への行き届いた暖かい心遣いが感じられる。その居心地の良さに、訪問者は気分が和らぎ、話が明るい方向に向かいそうだ。