ロボットを蹴り飛ばし、邪魔する
これは虐待か、耐久テストか

Spotが蹴飛ばされている様子(YouTubeのBoston Dynamicsチャンネル動画「Introducing Spot」 より) 

 ネット上でロボット虐待についての論議が巻き起こっている。きっかけになったのは2月9日にグーグル傘下のBoston Dynamics社が公開した最新式ロボット犬Spotのテスト動画だ。

 小型の犬型ロボットSpotは災害地などでの捜索や救助目的で開発された発電機内蔵の小型犬ロボットで、AI(人口知能)の力で俊敏かつスムーズに移動することができる。

 問題となっているのは一生懸命走るSpotを人間が蹴飛ばして倒すシーン。最初のシーンでは蹴ってもなかなか倒れない。次に凍った屋外で思い切り蹴飛ばされると、態勢を崩し横滑りしながら、それでもSpotはなんとか持ちこたえている。

 バランスのよさと耐久性をアピールする動画だというが、確かに動画を見てみるとSpotの動きが小型犬そっくりなだけに、蹴飛ばされる姿からは哀愁が漂ってくる。

 この動画の最後にはわざわざ「この動画を製作するにあたっては、いかなるロボット虐待も行っていません」という英語のテロップが出る。しかし、どう見てもロボット虐待に見えるということで、ネット上ではロボットの虐待についての論争が起きたのだ。

 ネットの反応を拾うと「ロボット犬を蹴り飛ばしても心が痛まない人間はそれ自体問題だ」という意見から、「あれは機械だ」という意見まで、まあ人間として想定できるさまざまな意見が、動画を見た人たちの間から巻き起こっているわけだが、その中である冷静な意見がでている。

「あれは軍事目的のロボットだから…」

 という書き出しで始まるいくつかの意見だ。詳しくは後述するが、軍事目的という点をちょっと心に留めておいていただきたいと思う。

 さてネット上で人気のSpot以外に、人間そっくりの二足歩行ロボットAtlasについての動画も同様の批判を浴びている。

 AtlasはやはりBoston Dynamics社が開発中のロボットだ。問題の動画ではAtlasが段ボール箱を抱え上げて棚にしまう作業を担当している様子である。まあ人間型のロボットが開発されると、いかにもこんな仕事を与えられそうだというシチュエーションで、それだけでも何かいいたくなる動画の始まり方だ。