「ファーストプレイスは、韓国の大田(テジョン)市から参加した、チームKAISTだ!」
そう紹介されたKAIST(韓国・国立科学技術院)のメンバーが喜びを全身で表しながら壇上へ上った。授与された小切手の大型パネルの記載金額は、200万ドル(1ドル125円換算で2億5000円)。振出人はDARPA長官のアラティ・プラバッカー氏だ。
盛り上がる壇上のKAISTチームに対して、観客席の韓国応援団もエキサイト。グランドスタンド上段で写真撮影していたKAISTチームスタッフは歓喜のあまり、頭上の蛍光灯に頭をぶつけ、その破片が取材中の筆者の背後から物凄い勢いで降りかかってきた。幸い、主催者が配ったメディア用のベストが防具となり、Tシャツ1枚の上半身を守ってくれた。
なぜ韓国チームが米トップチームを抑え、
日本チームは全タスクを通過できなかったのか
すでに日本でもテレビ、新聞、ウエブサイトの速報で紹介されているように、アメリカの軍事技術を担う政府機関・DARPA(ディフェンス・アドバンスド・リサーチ・プロジェクト・エージェンシー/国防高等計画局)が、災害対策を目的とした大規模なロボットコンテスト『DARAPロボティクスチャレンジ』(2015年6月5~6日/於: 米カリフォルニア州ポモナ市フェアグランド)を開催した。優勝したのは、8ポイント(全8タスク、それぞれ1ポイント)を44分28秒で通過した韓国のチームKAIST。2位はフロリダ州の人間・機械認識研究所が50分26秒(賞金1億2500円)、3位はカーネギーメロン大学で55分15秒(賞金6250万円)となり、これら3チームが8つの全タスクを通過した。
日本チームでは、国立研究開発法人・産業技術総合研究所(AIST)と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の共同チームが、5ポイントを52分30秒でこなし10位。二足歩行ロボットで日本での権威とされる東京大学大学院 情報理工学系研究科・知能機械情報学専攻の稲葉・岡田研究室が主体となったチームが11位(4ポイント・58分39秒)と14位(3ポイント・30分06秒)に終わった。
日本の大手メディアはこれまで「二足歩行ロボット等、ヒューマノイド(人型)ロボットの技術では日本が世界一」と度々報じてきた。そのため、今回の結果を受け「どうした日本?」、「なぜ韓国に大差で負けた?」といった感想を持つ方が多いだろう。