そのグローバルビジョン実現に向けて、「2015年に向けた中期の取組み」が掲げられた。それは、グローバル販売比率を当時の2010年時の日米欧60%、新興国40%から2015年には日米欧50%、新興国50%というように新興国での販売を伸ばし、日米欧と新興国のバランスの良い事業構造を実現していこうというもので、これが第1トヨタと第2トヨタのビジネスユニット体制へと結びつく。

 一方、強い収益基盤づくりに向け、「連結営業利益率5%(1兆円程度)」「単独営業利益の黒字化」(1ドル85円、世界販売750万台を前提)を早期に達成することが打ち出された。

 豊田章男氏が社長に就任する直前の2008年秋に起きたリーマンショックによる赤字転落は、2000年から2007年まで毎年50万台程度の生産増という急成長・拡大路線を走ってきたトヨタにとって、その反動も大きかった。また、その社長就任から8ヵ月後の2010年2月には、米議会公聴会においてトヨタ車リコール問題で涙を見せながらの対応を余儀なくされた。トヨタグループ創始者の豊田佐吉氏の曽孫という豊田家嫡流としての期待を背負った社長登板は、厳しいスタートだった。

「六重苦」からの建て直しで
培われた豊田章男体制の底力

「トヨタグローバルビジョン」を発表したのも、こうした体験を経てのものだったが、直後に東日本大震災が起き、サプライチェーンの課題を問われ、さらにその秋にはタイの大洪水という自然災害対応に直面した。この間、超円高となった為替への対応など、「六重苦」とも言われた厳しい経営環境の建て直しを迫られた。

「トヨタグローバルビジョン」は理念的なものであったが、これに向けて役員体制を変更。取締役会のスリム化、役員意思決定階層の削減、海外事業が現地で決定できる体制・仕組みの構築、そして社外の声を真摯に聞き経営に反映する体制・仕組みの構築を図った。この時期、豊田章男トヨタ体制が本格的に始動したとも受け止められる。

 その後、2013年3月に「トヨタグローバルビジョン」実現に向けた体制をさらに強化するために、①ビジネスユニットの設置、②地域本部の再編、③全社直轄組織の設置を実施。これが今回のカンパニー体制の布石となる。

 ビジネスユニットは、事業・収益責任の明確化と意思決定の迅速化に向け、自動車事業を4つのビジネスユニットにくくった。それが第1トヨタ(北米・欧州・日本)、第2トヨタ(中国・豪亜中近東・アフリカ・中南米)、レクサス事業担当のレクサスインターナショナル、ユニット事業担当のユニットセンターだ。

 こうした3年前の組織改正に連動して、今年4月に明確なカンパニー体制へと踏み込むわけである。基本的に、各カンパニーの独立採算性の確立と各カンパニーのプレジデントへの責任・権限の委譲により、次の経営世代の育成にも繋げる。