目立つ特徴に引っ張られる
ハロー効果
ハロー効果とは、特定の項目や要素に関する評価が、全体の評価に影響を及ぼすことを言います。人事考課の注意事項としてもお馴染みかもしれません。
『グロービスMBAキーワード ビジネスの基礎知識50』より抜粋
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ハロー効果が生じる原因としては、まず、人間の脳があまり精緻にはできていないということがあります。
人間の脳は、さまざまな情報を処理するという負荷の中で、情報を錯綜させて覚えたり解釈したりするのです。
つり橋を渡る時が告白のタイミングという「つり橋効果」もその一例です。つり橋を渡る際にはどうしても不安などから心臓がドキドキしてしまいます。人間として当然のことです。
面白いのは男女2人でつり橋を渡る時です。この時、多くの人間は、つり橋を渡るドキドキと、相手に対するドキドキが混乱してしまいます。
だからこそ、ドキドキを自分に対するドキドキと勘違いしやすいつり橋で告白をすると効果的とされているのです。
もう1つは、人間の掘り下げて考えることをさぼってしまう性向が挙げられます。先述のステレオタイピングと同様、多くの人間は思考をショートカットすることで効率化を図るのです。
ハロー効果が最も顕著に表れやすいのは人物評価のシーンです。身だしなみがしっかりしている人間に対して、多くの人は「この人は仕事もできるだろう」という評価を下しがちです。身だしなみは、ビジネスとまったく無縁ではないといえ、そこまでダイレクトには仕事の結果とは結びつかないはずです。しかし、人間の脳はそれを混乱して似たようなこととして判断してしまうのです。
面接のような重要なシーンでハロー効果を逃れる1つの方法として、本当に自分が重視するポイントを紙に書き出し、それにフォーカスして愚直に情報を集め、判断を下すという方法があります。手間暇がかかるため毎回使える方法ではありませんが、重要な意思決定では有効です。
繰り返しになりますが、バイアスは、人間である以上、避けられないものです。しかし簡単に流されてしまうのではリーダー失格です。バイアスの理解は、人間というものを理解することにもつながります。そうした意識も持ちながらバイアスについて知り、それらとどう付き合うべきなのかを考えていただきたいと思います。
4回の連載ではご紹介しきれなかったビジネスの法則やメカニズムについては、ぜひ『グロービスMBAキーワード ビジネスの基礎知識50』で確認いただければと思います。