子どもへの金融教育に注目が高まっている。2016年からジュニアNISAがスタート。19歳以下の未成年者でも、一定条件のもと非課税で資産運用が始められるようになった。

 また、政府や日本銀行によって運営されている金融広報中央委員会は、生活スキルとして最低限身につけるべき内容を具体化した「金融リテラシー・マップ」を公表。小学校の家庭科や、中学校の社会科の授業で金融に関する内容に触れるなど、学校での金融教育への試みも進められている。

幼少期から親とお金の話をオープンにする文化のあるアメリカ人。いまだに「お金の話」をタブー視する日本人家庭とは雲泥の環境差だ

 それでは、家庭において、親は子どもたちにどのように金融教育をしていくべきなのだろうか。アメリカの例を見ながら、家庭における金融リテラシーについて考えてみよう。

お金の使い方の「クセ」は
子ども時代に決まる

 ジョージワシントン大学ビジネススクールのグローバル金融リテラシー・エクセレンスセンター理事であるAnnamaria Lusardi氏は、お金の使い方の習慣は、人生において比較的若い時期に形成されると述べている。また、アメリカの消費者関連機関であるJournal of Consumer Affairsが15年6月に発表したレポートによると、16歳の被験者の貯蓄行動は、34歳になってもほとんど変化がなかった。

 つまり、子ども時代に身についたお金の使い方のクセは、大人になってもあまり変わらないということだ。もちろん、社会に出てからでも、自分で勉強したり、本を読んだりして金融リテラシーを高めていくことは可能だが、小学校から高校・大学にかけて、子どもが適切な金融リテラシーを身につけることは、その人の一生のお金との関わり方を決める大切なファクターとなると言えるだろう。

 金融リテラシーは、大人になって社会で生きていくために必要な実践的な能力である。この能力を身につけるには、教科書や学校の授業で勉強することも大切だが、やはり自分の最も身近な存在である、「家庭のお金がどのようになっているのか」ということから学んでいくのが手っ取り早い。

 さらには、自分自身で、お金を「稼ぐ」「消費する」「貯める」「運用する」というサイクルを回してみることが、実感を持って金融リテラシーを学ぶ近道だろう。アメリカでは、学校における金融教育が盛んなだけではなく、各家庭内においても、親が子どもに対して積極的にお金の話をしている。