決済処理自体はそう難しくなく、できる会社も多いでしょう。しかし、アマゾンは3億400万人のアクティブユーザーという、世界最大の顧客基盤を持っています。これほどの顧客がついているのはわれわれだけです。

 そして、注文成約率が30%から70%へと改善できることは、事業者にとって大きな意味を持っています。マーケティングでこれだけ売り上げを増加させるには、膨大な支出が必要ですよ。だから、ログイン&ペイメントは効果的なサービスなのです。

――決済サービス利用者の情報の取り扱いをどう考えていますか。

 とても重要なポイントです。アマゾンは、消費者が何を買ったのかは分かりません。どれだけの金額を請求するということしか、アマゾンは分からないのです。

 ほかの企業ならば、もっと情報を獲得して広告に使いたいと思うかもしれませんが、そういうことを求めていません。目的はデータでなく、あくまで消費者へのサービスととらえています。

――リテール部門から、もっと情報を出してほしいという要望が出ないのですか。

 答えはノーですね。多くの企業ではそうした状況になるのかもしれませんが、アマゾンの進む道ではありません。

 マーケットプレイスを始めたときに、リテール部門のカテゴリーマネジャーが、「自分たちにとって悪いビジネスだ」と言い出したことがありました。ですが、ジェフ・ベゾスCEOの答えは「自分たちにとって良い悪いという視点ではなく、顧客にとって良いと思うビジネスをやらないといけない」。

 それから10年たち、マーケットプレイスがアマゾンにとって悪いビジネスでなかったことが分かりました。顧客の選択肢が増えたことで、顧客のリテール部門への関係性も深まりました。ログイン&ペイメントも同じです。

 顧客が他のサイトで何を買ったのかという情報は、必ずしも必要であると思っていません。私たちはアマゾンで蓄積してきた購買データをすでに持っているので、他社のデータはそれほど必要でないのです。

――今後の展開をどう考えていますか。

 今後も世界に広げていく予定ですが、アマゾンの顧客基盤が確立されたところでの展開を考えています。しっかりとサービスが展開されていることを確認し、次のマーケットに行こうと思っています。

 ログイン&ペイメントを2年前に米国で開始し、その翌年に欧州に展開したことは、こうした意図があって行ったことです。

――ジェフ・ベゾスCEOからは何と言われていますか。

「Go Faster(もっと早く)」ですね(笑)。顧客の利益になることは、もっと早く動くようにと言われ続けています。