サービスを提供するメーカーは
すでにセンサーを製品に仕込んでいた
ミルクがなくなったら、冷蔵庫が自動的に注文をしてくれる。
これは、未来のスマート家電のビジョンとしてよく出てくるものだが、これに世界は一歩近づいた。アマゾンの「ダッシュ・リプレニッシュメント・サービス(DRS)」がスタートしたからだ。(編集部注:現在は米国のみ)
「リプレニッシュメント」とは、補充の意味。そして「ダッシュ」というのは、アマゾンが自動注文に関連してつくったサービス名だ。DRSでは、いくつかの家電メーカーとの提携のもと、洗剤、コーヒー豆、ペットフードなどがなくなりかけると、製品が自動的に注文をする。
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DRSは、すでに少し前からベータ・サービスとして開始されていたが、このたび正式にスタートすることになった。提携しているのは、プリンターのブラザーやサムスン、洗濯機や乾燥機、自動皿洗機など白物家電を製造するワープール、ゼネラル・エレクトリック、いくつかのスタートアップの製品。その中には、血糖値をスマートフォンで測れる機器、定量のペットフードを自動的に取り出す機器、スマートフォンでドアの鍵を開けられるノブなどがある。
たとえばブラザーのプリンターならば、次のようなしくみだ。
まず、DRSに対応しているモデルをもっている必要がある。インターネットにコネクトされているプリンターで、ブラザーのサイトを見ると50種類近いモデルが対応可能のようだ。つまり、新しい製品を買わなくとも、すでに持っているプリンターがDRS用になっているということである。
さて、すでに持っているプリンターが対応可能ということであれば、ブラザーのアカウントを作り、そのプリンターを登録する。同時にアマゾンのDRSを設定する。その際に使っているインクやトーナー・カートリッジを指定しておく。新製品を買った場合は、設定のプロセスでDRSへの登録項目が出てくるようだ。
これらのプリンターはインクの残量をモニターしており、それが低くなると自動的に発注するしくみである。大切なプリントアウトをしようと思ったらインクが切れていたといったことを避けるための心遣いのあるしくみだが、要はアマゾンへの注文が自動化される囲い込みの戦略でもある。