オバタ 授業やゼミ、バイトなんかに追われて、学生さんは年々忙しくなってますよ。昔は単にバッくれられることはあったけど、取材のアポ取りが本当に難しいですよね。じっくり話を聞ける学生探しが大変。

「英語の辞書の引き方も知らない」?!
大学付属校の内部生“今昔”物語

さん あと、学生像の掴み方の点では、慶應がいちばん難しかったかもしれません。

 というのも、学生さんたちがすごく細分化されていて、カラーが違うんですよ。大きくは内部生と外部生の意識がかなり違いますし、サークルやゼミに所属しているかどうかでも変わってくる。同窓会組織の「三田会」もどの高校卒かで細かく分かれていて、就職の斡旋率などもかなり開きがあるようです。話を聞いた子が所属しているニューヨーク学院三田会は、人数が少ない分つながりが強くて、就職もいいとか。

オバタ 慶應は内部生でも別格の幼稚舎出身、中学、高校からで、それぞれ違いますよね。

さん そうなんですよね。概して内部生のほうは、学部をまたいで交流している人が多く、声が大きくて、自信に満ちているイメージ。一方で、昨年版を見せると、「ああ、これは内部生のイメージですよ」という外部生は多かったですね。少し斜に構えているというか、慶應に馴染みきりたくない、というような気概を感じました。だからといってコミュニケーション下手というわけでもなく、取材に好意的な学生さんだと「ライターってどんな仕事ですか」とか「ほかの大学はどんな感じですか」と積極的に逆取材されたりしたんですけど。

オバタ 慶應に限らず、付属校から上がってくる内部生なんて、昔は「英語の辞書の引き方も知らない」など悪評がありましたが、今は随分変わりましたね。別誌で様々な大学の内部生を取材したのですが、昔と比べてすごく勉強させられてるイメージです。
 早稲田中・高は進学校になっていますし、明治や法政は大学への持ち上がりが多いですけど勉強はそれなりに厳しい。高校2〜3年ぐらいから、一般入試の人と比べたら自分たちは勉強していないんだから負けちゃいけないし、自分たちだけで集まって閉鎖的な雰囲気を作ったらいけない、なんて話しているそうで驚きました。

 Pさん、関西の大学の様子はどうでした?

Pさん キャンパスの整備をしている大学が多かったですね。

オバタ 関東の私大の整備は一巡したけど、関西は一歩遅れて今やってるところなんだね。

さん まさに整備まっただ中の立命館の学生さんで「1年のときと4年のときでキャンパスの風景がガラっと変わっていて寂しい」という意見は複数聞かれました。以前、近畿大でも同じような意見を聞いたことがありました。関西学院も僕が卒業して10年ですけど、かなりキャンパスの風景が変わっていて迷いました(笑)。これだけの変化が4年間で起こったら、結構インパクトあるだろうなと思いましたね。