2017年4月の入社を目指した、大学新4年生の就職活動が始まっている。前年に採用スケジュールが変わり、企業による採用広報は3月1日、選考活動は8月1日のスタートとなった。企業と学生、双方の活動期間が短縮された結果、内定辞退者が多発するなど、混乱が生じた。

 そして今年度、採用スケジュールは2年連続で変更になる。17採用は、はたしてどのように推移していくのだろうか。

楽観的に構える学生が増えている

このままでは「採用人材の質」が低下する一方?

「学生の企業研究が、どうも甘いというか、浅くなっているんです」

 ちょうど一年前のいまごろ、ある大手企業の採用担当者が漏らした言葉だ。

 3月スタートになった昨年、学生の動きは立ち上がりが総じて遅く、4月になってもなお志望の定まらない者が少なくなかった。

 もちろん、熱心な学生はいる。実態としては積極派と消極派とに二極化した、ということだろう。

 そして今年、学生の意識と動きは、やはり一年前と同様のようだ。

 ある就職情報会社のマネジャーは言う。

「企業紹介の合同イベントなど、来場者数は昨年に比べて30%減。学内での説明会と時期が重なり、学生が分散しているようです」

 多くの企業の出足は早い。8月から選考活動開始という経団連による指示をきっちり守った企業の多くが、優良な人材を取り損なった、という苦い経験があるからだ。

 そして、17採用では採用広報は3月1日スタートと変わらないが、選考活動は6月1日から、と2ヵ月早まる。

 学生にとって、企業選択の期間が短くなる。そこで、学生の就活準備、とりわけ企業研究が、今年はさらに甘くなるおそれがある。

 その一方で、企業の採用意欲は回復を遂げている。

 採用スケジュールの再変更と、採用環境の好転と。この二つの変化が重なり合って起こり、学生の意識に影響を与えている。

「普通に就活すれば、そこそこの企業から内定がもらえるだろう」

 一つ上の先輩の様子を見て、楽観的に構える学生が増えている、と思われる。