――マルサには情報収集部門がありますよね。どういった方法で情報収集をしているのですか? また、ガサ入れの判断は、どのように行うのですか。

衛藤 昔も今も大きくは変わらないと思いますが、マルサの情報収集の一つに、テレビや写真週刊誌、雑誌などがあります。おそらく、査察部門では、主要な週刊誌はほとんど購読しているでしょう。

 お金使いの荒い経営者などを見つけては、使いっぷりの割に納税額が低い、会社の売り上げもよくないなどとなれば、脱税しているのではないかと目を付け、その経営者の周辺を徹底的に調べ上げていきます。

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――個人課税部門や法人課税部門などと連携して調査しないのですか。

衛藤 連携して調査を行うことはありません。査察調査は国税犯則取締法に基づいて行われるものです。ただ、課税部や調査部が調査していた案件が、マルサに引き継がれることが少なくありません。

 個人課税部門や法人課税部門で調査を進めていたものの、脱税行為が悪質、金額が大きいなどと判断されると、マルサが動きます。

 つまりは案件が査察部に引き継がれ、査察調査へと移行します。査察は他部署からの情報収集にも力を入れています。国税庁の色々な部門から調査案件を掘り出すことも重視しているのです。

相続税の調査にも
マルサが出動

――2015年1月から相続税が増税されました。相続税案件でもマルサが動くのですか。

衛藤 現在は、相続や譲渡などで悪質な脱税行為が認められれば動きます。実は、1964年4月から83年3月頃までは、相続税案件には着手していませんでした。84年4月以降に着手するようになり、同年度に2件、85年度に12件、86年度に2件の案件がありました。

 当時はバブル経済が始まって、地上げや土地転がしによる架空手数料の問題が浮上しました。それに伴い、相続や譲渡に絡む架空保証債務などの計上事案が、東京や大阪方面を中心に全国規模で横行していることを把握。そこで、国税局の課税部資産税課(現在は、資産課税課)と連携し、東京地検の協力を得て、集中的に立件・摘発したのです。当時の相続財産は土地の占める割合が大きかったので、架空債務事件が多かったのだと思われます。

 そもそも相続税の場合は、被相続人が残した財産が調査対象になりますが、被相続人の生前の収支や貯蓄状況などを記載した帳簿書類が残っているケースは滅多にありません。

 そうなると、マルサには、申告漏れ財産が被相続人のものであることを相続人に自認させ、除外した財産などを発見し、確認することが求められます。相続事案は、財産の帰属や行為者の問題などが複雑で、告発するのが難しいのです。