3月27日、民主党と維新の党などが合流し、民進党が結党された。まずはお手並み拝見というところだが、そもそも民進党とは、どういう政党なのか? 前身の民主党や、与党・自民党との違いはどんなところにあるのか? 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏に解説してもらった。
民進党の弱みは
「表の顔」と「裏の顔」の不在
「今回、民進党に合流した維新の党の衆議院議員21人の中には、民主党が政権を担当していたときに離党した松野頼久代表ら元民主党議員が10人います。民主党にいるときに権力闘争や選挙事情から2012年に離党し、維新の党に行っていた議員たちがまた戻ってきたというだけですから、民進党と民主党で政策や政治理念に差があるわけではありません」
民主党時代から、組織としてブレがあると言われていたが、鈴木氏は民進党もそれをひきずっていると指摘する。
「民主党の問題は、昔からガバナンスがうまくいかないこと。トップの人間が組織を統治しようとしても、下にいる人間が『あいつが嫌いだ』などと言ってみたり、保守系の人は『共産党とは組みたくない』と言ったりと、内輪揉めが始まる。それで揉めれば揉めるほど支持率が下がってゆく。このあたりは民進党結党前後にも見られました。民主党時代から変わりません」
組織がまとまらない理由は、人材の欠如にある。では、どのような人材が民進党には必要なのだろうか。
「民進党が弱いのは、まず表の顔がいないこと。安倍さんに対抗できる民進党の総理候補は誰でしょうか。代表の岡田克也さんでは、やっぱり弱い。細野豪志さんでは、甘いです。かといって山尾志桜里さんでは、まだ若いです。
それ以上に、民進党の最大の欠点は、裏の顔がいないことだと私は考えます。裏の顔というのは、脅したりすかしたり、時にはカネも使い、戦略を描き、党をまとめる人です。たとえばかつての自民党には、野中広務さん、森喜朗さん、亀井静香さんのような人たちがいました。自民党は1994~98年まで自社さ連立政権を組んでいましたが、保守の自民党と革新の社会党が手を結ぶというのは、従来の常識では考えられないことでした。その裏で暗躍していたのが、彼らのようなフィクサータイプの政治家でした。
民主党時代には、小沢一郎さんや仙谷由人さんのような剛腕がいましたが、2人とも今はいません。強いて挙げれば、維新の党から戻って来た松野さんは寝業師ですから、期待は持てますが...。新聞は民進党は表の顔をつくれと指摘していますが、私は裏の顔がいないことの方が問題だと思っています」