信頼感がある人の話し方は、共感を示し、聞き手のペースに合わせます。声がいいというのは、音の高さだけではありません。ここでは、「リフレティング」と「ペーシング」に合った声の出し方について学びましょう。
250社超の研修実績、3万人が受けた声のビジネス研修を読んで学べるボイスレッスン『「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ』より、人気コンテンツを紹介します。 (イラスト/タワシ)
稼ぐビジネスパーソンと稼げないビジネスパーソンの違い
私の夫が生命保険に入る際に、何社もの保険会社の営業マンを呼んで、それぞれ提案をしてもらったことがあります。
私は横にいて、みなさんの話し方の違いを聞いていたのですが、「この人からは契約したくないな」と思わせる営業マンには二つのタイプがいることに気づきました。
一つは「口から生まれたかのように、とにかくペラペラとよくしゃべる人」。商品説明はうまいかもしれませんが、なんだか軽薄な印象を受けてしまいます。
もう一つのタイプは、「話し方に覇気がなく、弱々しい感じの人」。この人に任せていいんだろうかと不安にさせられます。
では、どういうタイプなら契約したくなるかというと、自分が話すよりも、お客であるこちらの話をよく聞いてくれる人です。
多くの営業本にも書かれているように、自分が話すよりも、お客様に話をさせることが営業で成功する秘訣です。
リフレクティングで共感を示す
さて、相手の話をじっくり聞くときに使えるテクニックをいくつかご紹介しましょう。
まずは「リフレクティング」です。相手の言った言葉をそのまま「オウム返し」する話法です。たとえば、こんな感じに使います。
相手「勇気を出してスクールに来ました。若い頃からずっと声に悩んできたんです」
自分「ずっと悩んできたんですね。具体的にはどのようなところを?」
相手「人から聞き返されてしまうことが多いんです」
自分「そうですか。聞き返されることが多いんですね」
単に相手の言葉を繰り返しているようにもとれますが、相手にとっては自分の気持ちに共感を示しているように感じられます。
このテクニックを使うことで、スムーズに会話が続きますし、相手との間に少しずつ信頼関係を築くことができます。
ポイントは、「~ですね」「~ですか」の語尾を上げること。
抑揚なくフラットに「聞き返されることが多いんですかー(→)」と言うと、冷たい印象を与えてしまいますが、「聞き返されることが多いんですか?」と語尾をしっかりと上げれば、より親身になっている雰囲気を出せます。
ペーシングで一体感を醸成
もう一つのテクニックが「ペーシング」です。これは相手のペースに合わせて話すこと。
ゆっくりと話す人は、ゆっくりとしたペースで物事を考えているもの。そんな人に対してこちらがマシンガントークで話しては、混乱させてしまいます。
また、早口でせわしなく話す人に対しては、こちらもある程度のスピードで話さなければイライラさせてしまいます。
早さだけでなく、声の大きさ、身振り手振りなど、相手に合わせた話し方をすることで、自分と相手との間に一体感が生まれて、相手は安心して自分のことを話してくれるようになります。