現役アナウンサーでさえ噛んでしまうサ行ですが、サ行をきちんと言えることで、信頼感や説得力が増します。そして、「そ」から始まるフレーズを使いこなすことで、相手に対してより共感を示していることになり、相手の気分を高めることができます。
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単語を区切ってしっかり発音する

 営業マンがよく使う言葉に「~させていただきます」があります。

「商品について説明させていただきます」「金曜日はお休みさせていただきます」など、何気なく使っている人も多いのではないでしょうか。

 この「~させていただく」は間違った日本語であるという説もありますが、文化庁の「敬語の指針」によれば、「相手側又は第三者の許可を受けて行い」「そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合」に使うのなら「適切な範囲」だということです。

 たとえば「発表させていただきます」は、相手に時間をもらって、提案を聞いてもらうのですから、許可も恩恵も受けているということで、おかしくはない表現になります。

 一方で、「私は○○高校を卒業させていただきまして……」などと言う場合は、相手とは関係なく成立する話なので、不適切な使い方となります。

 日本語って難しいですね……。

 敬語として正しいかどうかはさておき、この「~させていただきます」はビジネスパーソンの日常会話に浸透している言葉です。

 相手を立てて柔らかい印象を与えるので、仕事上、よく利用するのではないでしょうか。

 利用機会が多い言葉ですが、口に出すと難しく、噛みやすいという難点があります。

「させていただきます」と言えずに、「さしぇていただきます」「さしていただきます」などと、おかしなことになっている人がよくいます。自分ではそれほど気にならなくても、相手にとっては「たどたどしい」感じがして少し気になるものです。

 噛みやすいのは、日本語のなかでも特に発音するのが難しい「サ行」が連続して2回も出てくるからです。サ行は摩擦音といって、もともと言いにくい文字です。そして年齢を経るにつれて、サ行の発音はどんどん難しくなります。

 現役アナウンサーでさえ噛んでしまうサ行ですが、簡単にはっきりと言えるようになる方法があります。それは、「単語を区切って強く息を吐き直す」こと。

「3時にお電話させていただきます」
「ご提案させていただきます」
「こちらも協力させてもらいます」
「明日お伺いさせていただきます」
「ぜひぜひ参加させてください」

 と一気に言おうとするのではなく、

「3時に/お電話/させて/いただきます」
「ご提案/させて/いただきます」
「こちらも/協力/させて/もらいます」
「明日/お伺い/させて/いただきます」
「ぜひぜひ/参加/させて/ください」

 というふうに、「/」のところでしっかりと区切り、一つひとつの単語をしっかりと発音することで噛まずに発音することができます。

 なお、同じサ行でよく使う言葉に「そうですね」があります。これは「させて」ほど言いにくくはありませんが、頻繁に利用することで信頼感や説得力が増す言葉といえます。

 お客様の話を聞いているときに「はい」「はい」とだけ相づちを打っていては、ちょっとそっけない印象を与えてしまいます。

「そうですね」「それは大変でしたね」「そう思います」などと、「そ」で始まる相づちを多く使ったほうが、相手に対してより共感を示していることになり、相手の気分を高めることができます。