夫婦どちらかが先に亡くなると
年金額はかなり減ってしまう!
老後資金がなく、1ヵ月あたり夫婦で20万〜25万円の年金しか収入がないというのはどんな生活になるかを想像してみてほしい。今の年金生活者の支出は約27万円であり、収入はそれより少ない。
「リタイア後の生活」で思い描くような妻との旅行や子どもたちへの支援などを、この収入だけで実現するのは無理だとすぐわかるだろう。福祉のお世話にはならないまでも、病気になっても病院に行くのをためらうかもしれないし、家が壊れても直すお金がなく、傷むにまかせるしかなくなるかもしれない。
これでは、日々暮らしていくことはできても、気持ちのうえでは“下流”になってしまうのではないだろうか。
なお、この場合夫が先に亡くなると、残された妻が受けとれる年金は1ヵ月あたり約11万〜15万円と減り、妻が先に亡くなると夫の年金額は月13万〜18万円ほどになる。
毎月の赤字を補てんする老後資金がないと、福祉のお世話にならざるを得なくなったり、家を手放すことになったりと、まさに昨今言われる“下流老人”まっしぐらになるおそれがある。
今の40〜50代は、老後の準備に対する意識をもっと高めていかなければならない。それは、これまでに見てきた要因のほかにも、老後の生活を圧迫する要因があるからだ。次回はそれを解説していこう。
株式会社 生活設計塾クルー 取締役。
ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。1967年北海道生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さない独立系FP会社である「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情報を発信している。20年間で受けた相談は4000件以上。日本経済新聞、日経WOMAN、レタスクラブ等でマネーコラムを連載、ほかにダイヤモンド・オンラインでの『40代から備えたい 老後のお金クライシス!』のネット連載も好評。
主な著書に『30代で知っておきたいお金の習慣』『投資で失敗したくないと思ったら、まず読む本』『住宅ローンはこうして借りなさい 改訂5版』(共にダイヤモンド社)、『共働き夫婦のための「お金の教科書」』、『図解 老後のお金安心読本』(共に講談社)他多数。