本は「ななめ読み」がいちばん多くなる。ポイントを把握して精読が必要な本を選ぶことになるが、ポイントを押さえるにはアンダーラインを引いていく。2007年に発売された「こすると消えるボールペン」が非常に役に立つ。ごちゃごちゃ混乱した書き込みを消せるので、効率的な読書には大きな武器となる(文中敬称略)。
熟読玩味から目次だけまで
本によって読み分ける
本は目的によって読み方を分類できる。もちろん人それぞれの分類法はあるだろうが、35年ほど前、経済学者であり政治学者であり、社会学者でもあった多彩な知識人、小室直樹(1932-2010)が教えてくれた分類法が後々まで役に立った。1980年ごろ、小室に直接聞いた話だが、同じ時期に書物にも書き残している。
小室によると、本によって以下のように読み分けるという。
1)熟読玩味すべき本
2)いちおうの精読で済ませる本
3)全体の中の一部だけ読む本
4)ななめ読みする本
5)目次・序文だけを読む本
(小室直樹「古典山脈への登攀」『私の本の読み方・探し方』所収、ダイヤモンド社、1980年より)
小室は「ななめ読み」とは言わず、英語でGlance overと言っていた。辞典を引くと、「ざっと読む。目を通す。通覧する」という意味だ。「ななめ読み」と言っても間違いではないだろう。
小説はだいたい(1)(2)で、最初から通読・精読していくが、(3)(4)(5)はない。仕事や研究のために読む本は(1)から(5)まで、全部にわたる。たくさん本を集めると、(5)から逆順に当たっていくことになる。(1)熟読玩味すべき本はそれほど多くはないはずだ。多いのは(3)と(4)であろう。
「一部だけ読む」「ななめ読み」する本は大量にあるが、その際、ペンは持たずに気になった個所のページの端を折る。ざっと最後まで行くと、戻ってページを折った個所を見直し、今度はアンダーラインを引き、キーワードを書き込む。