自分の時間を増やすためのマインドセット

あなた自身のことを考えてみてください。やらなくてはいけないことがたくさんある気がして、圧倒されてしまう日はありませんか? 仕事量も優先順位も同じなのに、まったく違う気分の日はありませんか? そういうときは心は晴れやかで落ち着いていて、何もかもに対処できるような気がします。

仕事に圧倒されたり焦ったりしたとき、それを(たとえば)仕事量が多すぎるせいだと解釈することもできるし、自分が考えすぎている証拠だと解釈することもできます。自分の感情はどこから来ているのだろう――そのように考えること自体が、私たちを「本来の場所」つまり明晰な頭脳に引き戻してくれます。

心がクリアーで、フローの状態にあるときは、時間が瞬く間に過ぎていく気がするかもしれません。でも、このような心理状態のときは、より敏感で、クリエーティブで、機知に富み、優れた働きをできることが多いものです。

心の中が取り散らかっているときも、やはり時間が瞬く間に過ぎていくように感じられますが、外から内への理解をしているかぎり、生産的で優れた働きはできません。

明晰な理解と、明晰な思考の間には、直接的な相関関係があります。思考が経験をつくるという内から外への仕組みに気がつくと、私たちの心は自然にクリアーになり、明晰な思考を取り戻すことができます。すると良識が勝利します。

ここで重要なのは、経験の内容ではなく、思考の働きに注目することです。すでにつくりだされた経験をみつめても、答えはみつかりません。もう手遅れなのです。重要なのは、何が経験をつくっているか(何が思考や感情をつくっているか)、すなわち心、思考、意識の非個人的な原理を見つめることなのです。

あなたの思考は、環境に合理的に反応しているように見えるかもしれませんが、それは錯覚です。そもそも環境がどのように見えるかは、あなたの思考の結果なのです。

マーケティングの専門家ロリー・サザーランドはTEDトークで、「物事はありのままの形ではない。私たちが理解する姿をしている」と、語っています。たしかに時間は最も貴重な資源の一つであり、1日には24時間しかありません。

でも、思考の仕組みを少しばかり理解すれば、頭が明晰になり、フローの時間が増え、より良い成果をあげ、その過程で自分の時間を増やすことができるのです。

シャンタル・バーンズ(Chantal Burns)
若い起業家からCEOまで、世界中のさまざまなビジネスパーソンにアドバイスを行っているリーダーシップ・コーチ、メンター。BBCやタイム・ワーナーをはじめとして世界中の有名企業を指導している。三度の来日経験があり、日本でもコーチングを行っている。個人や組織のパフォーマンスを向上させるプログラムには世界各地で定評がある。バーンズは8月に来日予定。今後継続的に来日し、現在 欧州を中心に注目されている新しいリーダーシップスタイルの開発プログラムを日本始めアジアでも提供していく予定。