BBC、ワーナーなど世界の一流企業でコーチングを行ってきた著者が、その手法を徹底解説。一瞬で「やる気」を手に入れるための8つの方法とは? 『瞬間モチベーション』よりモチベーション低下に悩む人に役立つコンテンツを公開していきます。第2回は私たちの「思考」がなぜ現実になるのかについて、シンプルな原理を紹介します。

目に見える世界は「思考」がもたらしたもの?

私は長年、営業関係の仕事をしていました。この分野は、顧客と信頼関係を構築して維持する能力が、成功のカギとなります。私の最初の上司はよくこう言っていました。「見た目に気をつけろよ。認識は現実なんだから

当時の私は、「なるほどね」とは思いましたが、その言葉の真の意味がわかったのは、ずっと後のことです。

偉大な思考者の多くは、人間は世界を直接経験しているのではないと言います。人類初の天才科学者とされるアリストテレスは、すべての概念と知識は認識によってできていると説きました。アインシュタインにも有名な言葉があります。「現実は錯覚にすぎない。非常にしぶとい錯覚だけどね」

でも、世界は自分の外に独立して存在するように見えると、多くの人は言います。人間、建物、暖かい太陽、そよ風に揺れる木、近所の人の声。たしかに実体のあるリアルな世界が、私たちとは独立して存在するような気がします。

確かにそれは事実ですが、最高のイリュージョンと同じで、すべてが見た目とまったく同じというわけではありません。あなたが経験することは、思考の原理によって生み出され、あなたの意識によって現実に見えたり、感じられたりしているのです。

この記事を読む経験も、純然たる認識です。確かに記事は存在しますが、その存在は中立的な光のデータとしてあなたの目に入り、網膜にぶつかって、電気化学的衝動を生みます。その衝動が神経線維を通じて後頭部に達し、脳が猛スピードで過去の経験(本を認識して本と呼ぶこと)と照らし合わせて、「これは記事に見える。だから記事に違いない」という解釈を弾き出します。

私たちは思考を使って過去を考えます。すると仮説がもたらされ、未来に向けた期待(これも思考の一つ)が生み出されます。