BBC、ワーナーなど世界の一流企業でコーチングを行ってきた著者が、その手法を徹底解説。一瞬で「やる気」を手に入れるための8つの方法とは? 『瞬間モチベーション』よりモチベーション低下に悩む人に役立つコンテンツを公開していきます。第一回はプレッシャーから解放されるマインドセットについてです。

プレゼン前に緊張したときは……

私たちは物理的なモノ(建物、車、人々、道路、木)に囲まれて生きています。そこには、ぶつかったり、触ったりできるモノが存在します。でも実は、私たちがぶつかる対象のほとんどは、思考と感情という自分の中の世界であり、それを外の世界に投影しているにすぎません。

レーザー光線が、写真や言葉を建物に照射するように、私たちは自分の思考や感情を人やモノに投影しています。映写機のたとえのように、思考は自分の外に投影されると、「固定された現実」すなわち既存の環境となります。つまり私たちが外的環境と認識するものの多くは、実のところ、自分の内なる思考と感情からなる世界を反映しているにすぎないのです。

たとえば、大勢の聴衆に話をしなくてはならない場合。多くの人は、不安でたまらないと言います。人前で話すなんて、死ぬより怖いと言う人もいますよね。

では、あなたも人前で話すのが苦手だとしましょう。それなのに明日の会議で、都合が悪くなった上司に代わってスピーチをするよう命じられます。会議の出席者は600人。あなたがそれまで話をしたことがある相手は、せいぜい50人で、しかも1ヵ月の準備期間がありました。

翌日、会場に行くと、人々が続々と席に着くのが見えます。巨大な会場で、前方には大きな舞台があります。あなたの手に汗がにじんできます。この場を乗り切れるか不安でたまりません。十分な準備時間はなかったし、聴衆は上司の話を期待しているから、自分を見てがっかりするかもしれない……

不安はどんどん大きくなります。時計を見ると、出番まであと30分しかありません。不安がさらに大きくなります。外の空気を吸いたい衝動に駆られますが、もうマイクを着けていて、今から外に出ることはできません。隣には、やはり今日スピーチをする人たちがいますが、みんなリラックスして、笑ったりジョークを言い合ったりしています。明らかにみんなちゃんと準備をしていて、おそらく多数の聴衆にも慣れているのでしょう。