『週刊朝日』で連載中の漫画「ヘルプマン!!」は介護・高齢者問題の現実を描き、一般読者だけでなく、介護業界の人からも注目されている。作者から作品に込めた介護の「思い」などを聞いた。(聞き手・構成/ダイヤモンド・オンライン編集部 山本猛嗣)
「過剰に表現」「もっとひどい」
相反する介護に対する読者の反応
──「ヘルプマン!!」は、コミック誌での連載当初、リアルな介護の現場を取り上げた衝撃的な漫画として話題となりました。読者の反響はどうでしたか。
非常に面白いと思ったのは、「介護はこんなにひどくない。過剰に表現している」という声がある一方で「介護の現場はこんなもんじゃない。もっとひどい」と相反する声が寄せられたことです。
介護の経験というのは、その人によって状況や背景が異なりますから、反響もさまざまでしたね。関心や興味の“つぼ”が皆さん違うようです。
例えば、単行本でいいますと、在宅での認知症介護をテーマにした「在宅痴呆介護編」が良かったという人もいれば、中高年女性の一人暮らしの問題を取り上げた「セカンドライフ編」が素晴らしいという人もいて、多くの感想をいただきました。「つらくて読めない」という声や「介護が怖くなった」という声もありました。
実際に介護の仕事に就いている方々からは「地味な介護の職場に光を当ててくれて、ありがとう」という声が多く寄せられました。非常にうれしかったですね。
介護施設の経営者の方からは「自分の施設の経営について、意見が欲しい」と言われ、驚いたこともあります(笑)。
──これまでの連載では、認知症をはじめ、高齢者への虐待問題、胃ろう、高齢者ドライバーの問題など社会的な問題を精力的に取り上げています。介護や高齢者社会のテーマを漫画にしたのは、やはり、こうした問題を世に問おうとしたからですか。
実は、「介護問題を世に問う!!」というような大げさなことは考えてはいませんでした。
私はこれまでも、夫婦や友人、親子、家族といった身近な問題、足元の問題を掘り下げた漫画を描いてきました。
まさしく介護は家族や親子の問題であり、人間関係やコミュニケーションの究極の問題と思ったからです。例えば、「キャプテン翼」という人気のサッカー漫画がありますが、突き詰めると、チーム内の人間関係や友情がテーマとなっています。
親子ならば、介護の問題は逃げたくても逃げられない。それでも、悩み、考えながら、解決策を見いださなくてはなりません。