長期的な目標が
集中を妨げる
もちろん先のことを考え、計画し、準備を練ることは重要です。でも、自分の満足感や心の健康を、目標達成に付随させてしまうと、一番大事なことを逃すことになります。
アラン・ワッツはこのことを次のように表現しています。
未来の計画をしても仕方がない。そのときになったら、それは現在になり、あなたはまだ到来していない別の未来を生きることになる。このやり方だと、人間は自分の行動の果実を受け継ぐことも、享受することもできない
世の中には決して満足しない人がいますよね。何かを達成すると、すぐに次のことに取り掛かる。成果をあげれば、いい気分になり、幸せを感じ、自分の存在意義が証明されると考えている人たちです。
人生に満足できないのは、何かが足りないからのように見えますが、実際はその反対です。満たされない心が、何かが足りないという錯覚を生み出しているのです。これも外から内への錯覚の罠です。
私たちは自ら欲求や好みをつくりだし、それが偽りの欠乏感を生み出します。何かを必要だと思えば思うほど、その「ギャップ」は大きくなり、満たされない感覚が大きくなるのです。
私たちは何のために、日々頑張っているのでしょう。私たちの努力が達成しようとしている、より深遠な目的とは何なのでしょうか。私たちの多くは、充足感や意味を求めて生きています。まるでそれが、自分の外のどこかにあるかのように。でも、そうしたものは、私たちの内側からしか得られません。
幸せ、満足感、充足感、心の平穏は、目標や結果の達成によってつくりだされるものではありません。今よりも充足感や満足感を得るために、もっとすごい人間になったり、もっと多くのモノを手に入れる必要はないのです。
満足や幸せは、思考がつくりだす感情です。ということは、それを邪魔しているものに気がつけば、瞬時に手に入れることができます。幸せと悲しみ、充足感と欲求不満、明晰と混乱の間には、たった一つの思考しかないのです。