菅政権延命でも政界再編

 菅直人首相が夏休みを取ったこともあり、9月14日に民主党の代表選を控えている割に政治は静かだ。対立候補が明確でないこともあり、猛暑の中、政界にもある種の倦怠感が漂っているようだ。

 各種調査を見る限り、世論は菅内閣を支持していないが、他方で、短期間に日本の首相が替わることに対しても賛成していない。短期間での首相交代が、本当に国益に反するのか否かは、本来前後の政権を較べて論じないと結論が出ない話だが、国民は目下政権交代に消極的であり、これが菅首相の頼みの綱になっている。

 端的に言って、次が誰であるとしても、最早、菅氏と比較するとしても、魅力的な候補者がいないとの諦めを多くの国民が抱いてるのかも知れない。「政治不信」とは別の形だが、政治の力が低下している。

 一方、参議院選挙期間中は、いわゆる「ブレ」発言のオンパレードが報道された菅首相であったが、彼及び彼の周辺から、参議院選挙後には、目下の所、意外に大きな失点はない。参院選挙を台無しにした菅党首の消費税発言から見ても、官僚組織は、菅内閣が随分「お利口」な内閣になったと感じて、攻撃の手を緩めているのかも知れない。官僚組織としても、政治屋が言うことを聞くなら、しばらくそのままでもよい筈だ。

 菅氏は、16日、代表に再選された場合、小沢一郎氏を幹事長に起用しない方針を明らかにした。メディアの協力を得て、「小沢か、非小沢か」を再び争点にすることができれば、世論の支持も得て再選が可能かも知れない。しかし、その場合、民主党内の亀裂は大きくなるだろう。

 加えて、次期通常国会では、予算案は衆議院の優越規定で通るとしても、予算関連法案を通す見通しが立たない。加えて、世界的に経済対策の効果が切れる時期を迎えており、景気はしばらく下り坂だ。