話す準備を綿密に行うことになり、日常の会話も簡潔で論理的になりつつあるとのこと。日本語特有のダラダラ文、あいまい文は、キレイな英語に訳しづらいので、自然と理路整然とした簡潔な文章になります。最初に概要を述べ、詳細を後から補足する。最初にいくつの問題点があるかアウトラインを述べ、順に1つずつ解説する。プロジェクトのゴールに対して進捗が何パーセントで、問題点がいくつ残っているかを説明する力などが社員に備わりつつあるようです。

 他にも英語を使うことで視点が自然とグローバルになり、世界の動向に注目する発言が増えるなど大きな変化が生まれ、仕事での成果にもつながってきているのも特筆すべきところ。英語の公用語化の導入に関しては、まずは「やってみる」という挑戦心も大事なのかもしれません。

 ただ、そうして英語が公用語になる職場で働く社員たちはどう思っているのでしょうか。今回取り上げたようにベンチャー企業や海外で活躍する機会の多い上場企業だからこそ受け入れられた可能性があります。

 ロゼッタストーンの調査によると、約7割のビジネスパーソンは英語社内公用語化に危機感を示しています。取材した製造業に勤務しているFさん(40歳)は不安を吐露してくれました。

「社会人になり、学習する機会が少なくなってきた状態でいまさら英語力が上がるのか。さらにいえば英語力の向上でビジネスは成功するとは限らない」

 と英語公用語化に懐疑的な意見を持っていますが、それこそが危機感の表れかもしれません。

 現在、日本のネット通販でトップを走り続けてきた楽天市場は競合との争いなどで成長が鈍化。シンガポールなど東南アジア3ヵ国のネット通販サイトを3月末に閉鎖するほか、電子書籍事業も減損処理を余儀なくされ、事業の選択と集中を迫られています。こうした海外展開の失敗と英語力への取り組みの関係性を揶揄するような声もあるようです。

 しかしだからと言って、「英語力の向上は不要」とはなりません。グローバル化に向けて英語力の向上は会社ぐるみで必要なこと。反対意見があっても、進めていくべきと覚悟して継続していただきたいものです。