「英語が職場の公用語になる時代がくる」

 大手企業が公用語に英語を採用したこともあり、「自社も英語を公用語に…」と大騒ぎしている会社も少なくありません。

 ところが、実際に企業がビジネス拡大をしているのは、英語圏でなく中国語圏。グローバル化が加速するのは間違いありませんが、英語が公用語として本当に必要なのかと疑問を持つ方もいるでしょう。

 そして学生時代に学んだことをすっかり忘れたビジネスパーソンの多くが英会話スクールに駆け込むべきか、悩んでいることと思います。今回は、公用語化されつつある英語への葛藤を抱く職場とビジネスパーソンの実状について、見ていきましょう。

海外との仕事をするのは
もはや帰国子女だけではない

 現在、多くの日本企業がアジア、特に中国に目を向けるようになりました。

 昔なら海外駐在や外国人と接する役割は帰国子女の独壇場。他の社員とは別採用されて、専門の組織で海外との仕事に従事しているケースが大半でした。ですから、外資系企業や商社を除けば、日本国内で働くビジネスパーソンにとって、外国人と仕事で接する機会は極少。これまで日本企業は輸出によって外貨を稼いできましたが、ある意味、江戸時代と同じような限定された窓口を通じたビジネスをしていたのかもしれません。

 ところが、近年では海外との仕事が大幅に増え、もはや帰国子女だけでは対処できない状況になってきました。その背景にあるのが、アジアでのビジネス拡大です。出店や海外拠点を増やすためには、現地駐在員が必要です。アジアなら中国、あるいはシンガポールあたりに2、3年を目処に転勤をすることになった社員の話をよく耳にします。取材したメーカー勤務のSさんも、

 「これまで営業一筋。海外なんて新婚旅行以来行っていません」

 と言っていましたが、今では語学能力や留学経験がないにも関わらず、現地で外国人と接する海外業務に関わるようになってきました。私の知人からも、

 「北京に2年駐在します。是非、遊びにきてください」

 などといった、海外駐在の挨拶メールが頻繁にくるようになりました。

 また最近では、海外企業の訪日をアテンドする役割として外国人と接する社員も増えています。今までのような「閉じたグローバル化」から「本格的なグローバル化」が求められる時代になったわけです。