生活保護世帯の場合
受け取れる義援金等に上限はあるのか?

 ここで気になるのは金額だ。生活保護世帯の場合、実質的に受け取ることのできる義援金等の金額に、上限はあるのだろうか?

「東日本大震災の際、福島県内の被災世帯に支給された一次義援金は40万円でした。『40~50万円程度は包括計上(ほぼ、「とりあえず受け取れて自由に使える」)が許される』という理解でよいのではないかと思います」(倉持さん)

 注意が必要なのは、「包括計上できる金額」が受け取れる金額の上限というわけではない点だ。

「福島県内では、その後、避難地域以外でも東電が賠償金を支払いました。大人一人8万円、18歳以下と妊婦は一人40万円(避難していればさらに追加が20万円)です。生活保護世帯では、自立更生計画書の提出が求められたので、各世帯が提出しています」(倉持さん)

 それ以前は、どうだったのだろうか?

「阪神淡路大震災では、全壊の場合、第1次義援金(10万円)、県市見舞金(7万円)、第3次義援金(15万円)、住宅義援金(30万円)、被災者自立支援金(37万5000円~120万円)などで、合計130~180万円を受け取ることができました。収入認定されたという例は、ありませんでした」(觜本さん)

 第1次義援金以外は、自立更生計画書の提出が必要だったということだが、生活保護世帯が受け取れる義援金・見舞金・補償金の金額に関する上限は、基本的に「ない」と考えてよさそうだ。これらは「災害により困難を抱えた」ことに対する給付である。災害による困難は生活保護利用であろうがなかろうが同様であることを考えれば当然であろう。生活保護を利用していた場合、災害以前の生活が「最低限度」であり、災害によって「最低限度以下」となっているのであるから、私としては「むしろ生活保護利用世帯に対する割り増しも考えられてよいところではないか」と思う。

 なお、避難所にいて受け取った炊き出し・救援物資などの現物は、収入認定されないこととなっている。冒頭で紹介した厚労省の事務連絡「平成28年熊本地震による被災者の生活保護の取扱いについて」の4ページに添付された「東北地方太平洋沖地震による被災者の生活保護の取扱いについて(その2)」を見ると、避難所にいることを理由とした生活費(生活扶助)の減額はなく、自分の住まいで生活している場合と同額とされている。やや分かりにくいのだが、「避難所で提供されている食事や物資は、保護費以外の特別な収入とはみなさない」ということである。