あなたのお財布には、一体何枚のポイントカードが入っているだろうか。

 航空会社のマイレージ、家電量販店のポイントカード、レンタルビデオ店や小売・外食チェーンなどで共通に使えるポイントカードまで、改めて調べてみればその数は想像以上に多いはずだ。

 日本には様々な「ポイント」が溢れ、それは我々の生活に定着してきた。しかし、2015年または2016年、あなたの財布を圧迫している数多くのポイントカードは、何枚も姿を消すことになるかもしれない。

 なぜなら、前回まで紹介してきた国際会計基準(IFRS)の導入が、日本のポイント会計、ひいてはポイント制度の運営自体に大きな影響を及ぼすからだ。

 今回は、日本基準とIFRSにおけるポイント会計の違いと、IFRSの適用によって日本のポイント制度がどのような影響を受けるのか、具体的に見ていくことにしよう。

「将来発生する費用の引当」と見る日本と
「収益の繰延」と考えるIFRS

 日本には、ポイント制度を採用する企業が多数存在している。しかし、実はポイントに関する会計処理の基準は存在していないのが現状だ。そのため各企業は、慣例的に「ある会計処理」を行ってきた。それは、ポイントを将来の費用として、引当金計上する方法である。

 ポイントが付与された段階では会計処理は行わず、決算期末時に、顧客がポイントを将来行使して、商品などを購入したときに発生するコストを見積もり、引当金として計上する。その際、将来のポイント行使の確率を過去の実績から求めることが必要となる。

 たとえば、期末時点で100ポイント(100円分)が残高としてあり、過去の実績から50%が行使されるとしよう。すると、「100ポイント×50%(行使の確率)=50ポイント」が翌期に見込まれるポイントになる。そして原価率が70%とすると、引当金処理されるのは「50ポイント×原価率70%=35円」のコストとなり、期末に計上される。