日本企業に刻一刻と迫るIFRSの強制適用。2015年または2016年3月期と目される適用時期を見据えて、各社は本格的な準備にとりかかり始めた。責任者は、勉強や準備で忙しい日々を送っているだろう。
しかし、日本国内や自社の状況だけを見ていても、IFRSに関する見識は深まらない。そもそもIFRSの適用は、日本をはじめとする各国のローカルな会計基準を共通の会計基準に変えようという、国際的な取り組みだからだ。
そのためIFRSの適用は、各国の会計制度の変更を通じて、国際ビジネスにも大きな影響を与える可能性がある。グローバル化が加速する現在、海外進出を行なう日本企業は、他国の会計制度についても理解を深めておかなくてはならない。
日本企業が最も依存する新興国
現地の会計制度改革の現状は?
ただし、欧米をはじめとする先進国の状況を理解するだけでは、万全ではない。日本企業がこぞって進出し、ビジネス上最も重要な地域と言ったら、どこだろうか? それは、BRICsをはじめとする新興国に他ならない。
新興国の企業と言えば、「会計制度がちゃんと整備されておらず、上場企業でも決算がいい加減」「中小企業の不正なんて日常茶飯事」というイメージを抱いている人も多いだろう。
確かにそういう事実はあるだろうが、それは一面的なものの見方に過ぎない。総じて足並みはバラバラだが、実は新興国の多くはすでに近い将来におけるIFRSの適用を決めているか、適用を目指して動いている。
適用が未定の国でも、自国の会計制度の特性を国際会計基準審議会(IASB)に伝えるなどして、無理のないコンバージェンスを行なおうと、熱心に議論を重ねている。現状を見る限り、「日本企業よりも新興国のほうが、よほどIFRSに積極的」と言えるかもしれない。